手術中に開頭した患者と会話をしながら脳腫瘍を切除する覚醒下手術

東京女子医科大学病院 脳神経外科の脳腫瘍治療に関する先端的な取り組みが、またマスコミに取り上げられていました。
▼最先端の脳腫瘍手術 医師と患者が会話しながら手術を進行(NEWSポストセブン)
http://www.news-postseven.com/archives/20120212_86535.html


手術中に患者を麻酔から覚まして、話しかけながら腫瘍摘出を進めることで、言語機能を司る脳の言語野を傷つけずに腫瘍のみを摘出するという「覚醒下手術」に関する記事です。日本テレビ「news every.」での報道内容に関する週刊ポスト2012年2月17日号の記事のようです。

手術が始まった。執刀する丸山隆志講師は、患者さんに名前を告げてもらっている。そして「この絵はなんですか」とたずね、「バラです」といった話を交わしているのである。

このように実際に開頭した状態の患者さんとお医者さんが会話しながらを手術を進めます。さすがにちょっと怖い気もしますが、脳細胞自体は痛みを感じないため、患者さんは痛くはないとのこと。

もちろん頭皮を切り、頭の骨を外すときは、痛みを止めなければならない。だが、いったんそれを終え、脳腫瘍を切除する段階になれば、患者さんは痛みを感じないから、意識があっても、手術ができるのだ。

僕自身の昨年の手術は覚醒下手術ではありませんでした。僕の場合は腫瘍ができたのが言語野ではなく、右後頭部の視覚野だったためです。ですから、手術中に麻酔から覚ますのではなく、目に光を当てて視神経の電気信号のモニタリングをしながら、視神経を傷つけないように腫瘍を摘出しました。
なおこの記事に登場する東京女子医大の村垣善浩教授と丸山隆志講師は、僕の主治医です。先月のブログ記事(日経新聞に東京女子医大 村垣善浩教授の脳腫瘍手術に関する取り組みが掲載(僕の主治医))でも書きましたが、村垣先生、丸山先生のチームは、脳腫瘍の新しい治療方法を積極的に開発しています。そしてそのために、年初の記事(日経コンピュータ「業務を変えるコンシューマーIT」にZyncroと女子医大が登場。)でも書いたように、なんとコンピューターゲームの技術(マイクロソフトのKinect)までも手術に取り入れています。
上記記事にもこうあります。

先端生命医科学研究所先端工学外科学の教授、村垣善浩さんは、脳神経外科の教授も兼任している。東京女子医大は早稲田大学と連携し、さらに日立メディコという企業らと産学協同で、最先端の手術システムを開発してきた。

村垣先生、丸山先生のチームは、最新の技術を取り入れた新しい手術方法を開発することで、悪性脳腫瘍(特に神経膠腫/グリオーマ)の治療成績を向上させることに真摯に取り組んでいます。
先生方に助けてもらった患者の一人として、先生方のこうした取り組みがより広く世の中に知られ、一人でも多くの患者さんの命が助かるといいなと思います。
P.S. この記事で言及されている日本テレビの番組で、村垣先生のチームの取り組みが紹介されるにあたり、僕も村垣先生から患者として取材に協力してもらえないかとの依頼をいただいていました。先月の外来診察の際には、日本テレビのディレクターの方とも病院でお会いしていました。ただ最終的に番組で取り上げるテーマが覚醒下手術に絞られたため、別の患者さんを取材することになったようです。

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