最終手段でお腹の状態が好転/看護師さんの偉大さ:白血病・悪性リンパ腫闘病記(25)

前回の闘病記からの続きです。
◼︎2013年6月5日(水)。入院24日目。抗がん剤治療開始から16日目。
前日の下剤ボトル丸ごと飲みが功を奏してか、朝、多少のお通じがありました。ただまだ中途半端な感じで、お腹の苦しさは全く変わりません。


担当医のMY先生と相談し、入院前から飲んでいた痛み止めの医療用麻薬、オキシコンチンの量を減らしてみることにしました。僕は最初、左足に走ったとても耐え難い激痛により、仙骨(背骨の一番下のお尻の骨)脇に腫瘍が見つかりました。その大きな腫瘍が仙骨(背骨)から左足に伸びている神経を圧迫し、激痛を起こしていました。いわゆるがん性疼痛です。
その激痛を抑えるため、痛み止めの医療用麻薬のオキシコンチン(朝晩)とオキノーム(痛みが強い時の頓服)を、国立がんセンターでの検査入院の時から処方してもらっていました。
このオキシコンチンが、抗がん剤のオンコビン同様、腸の動きを鈍らせ、便秘の原因になるということです。足の痛みも相当辛いのですが、この時はとにかくお腹が痛く苦しく、何も食べられないような状態だったため、そちらの対応を優先させ、オキシコンチンを減らすことにしました。
抗がん剤のオンコビンを投与された時に、MY先生から言われていた

オンコビンは、副作用として便秘を起こしやすく、ひどくなると腸閉塞を起こすこともあるので、下剤などを使いながら注意してくださいね。

という注意の意味が初めて分かりました。しかも僕の場合、オキシコンチンとの相乗効果もあってか、下剤がほとんど効かず、症状は悪くなる一方でした。後でMY先生に聞いたら、ほとんど腸閉塞(イレウス)だったようです。
この頃は本当に何もできず、とにかく痛むお腹を抱えて横になっていることしかできませんでした。本を読むことやiPhoneをいじることはおろか、音楽を聴くこともできません。とにかく横になって痛みに耐え、天井を見つめていただけでした。痛みが一時的に弱まって眠ることができればラッキーでした。
時間の感覚も全くなくなりました。夕飯が出てきたので何とか一口でも食べられればとがんばって起きて時計を見たら、まだお昼だった、というような状態でした。
この時期は、腸の状態を確認するために、何度もレントゲン撮影に行ったのですが、そのレントゲン室への行き帰りも非常に大変でした。
とにかく痛みと苦しみに耐えるだけで精一杯でした。
◼︎2013年6月6日(木)。入院25日目。抗がん剤治療開始から17日目。
この日もひどい便秘は続いていました。腸は動かず、以前食べたものやガスが溜まり、それで膨れた腸が胃を圧迫し、でも胃から腸にものが下りていかないため、胃にもものが溜まり、そこに腸から圧迫されるため、胃腸がともに痛み、苦しく、食欲は全くありませんでした。
それでも毎日1キロずつ体重が減っていくのが怖かったため、無理をして少しでも食べようとするんですが、ものを食べると胃に刺し込むような痛みが走ります。
そうして苦しんでいる僕を見かねた看護師のMさんが、「高山さん、ここまで来たら、もう浣腸をした方がいいと思います。本当は薬で出した方がいいんですが、あれだけ下剤を飲んでも出ないなようですから、浣腸をした方が楽になると思います。ご自身は嫌かもしれませんが」と言いました。
僕はとにかく苦しかったため、嫌だとか恥ずかしいとか羞恥心とかそういう気持ちは全く起きず、「それで楽になるんであればぜひお願いします」と即答しました。
ベテラン看護師のMさん(と言っても三十代前半)は手慣れたものでした。ベッドの上で行ってくれ、注入終了後、僕はトイレに駆け込みました。さすがに即、効果がありました。完全に出たわけではありませんが、お腹は大分楽になりました。Mさんには心から感謝の言葉を伝えました。
看護師のMさんに助けられたのは、以前、激しい腹痛に襲われた時以来です。その後も娘のお見舞いの可否について気を使ってくれたりしました。
僕が本当に辛い時や大変な時は、常にMさんに助けられていたような気がします。患者の状態を見て何が必要かを判断し、医師と連携し、適切な処置を行い、患者はもちろん家族にも気を使い、本当に尊敬すべき仕事だと思いました。一見、イケイケのお姉さん風のMさんが偉大に見えました。Mさんには今でも本当に感謝しています。
この日を境に、お腹の状態は好転していきます。

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