株式会社オーシャンブリッジ ファウンダー
高山 知朗 (たかやま のりあき)
2012年01月25日
先週の1月17日(火)は、月に一回の外来診察日でした。そしてこの日は、診察以外にうれしいことがいくつもありました。
診察予約が9時半からだったので、久しぶりに朝の通勤ラッシュの中、満員電車を乗り継いで東京女子医科大学に行きました。
まだ視覚障害が残っていて、視野の左下の方がよく見えないため、人が錯綜する駅の人ごみや満員電車の車内は非常に疲れます。人やものにぶつからないように周囲に目を配って神経を使うためです。それでもしょっちゅうぶつかってしまうのですが。神経を張り詰めながら人ごみを歩くのは、精神的にも肉体的にもまだまだ疲労します。
ということで、若干ふらふらしながら病院に着いて、いつものように採血をしてから脳神経外科の受付に。採血結果が出ると名前を呼ばれて、まずは薬剤師のI先生の診察。血液の数値は全く問題ないとのことでひと安心。
それから主治医のTM先生の診察。年が開けて初めての診察だったので、新年のご挨拶をしてから、先日お腹を壊した話や、最近の視覚障害独自リハビリの状況報告、そして年末年始の帰省の話など。こちらも特に経過に問題はなし。
いつもは脳神経外科の診察はI先生とTM先生だけなのですが、この日は、もう一人の主治医のYM先生にもご挨拶してきました。先日、某SNSでたまたまYM先生とつながった際、「ブログに病気治療のことを書いています」とご連絡したところ、先生は早速読んでくださって、「大変読みやすく、臨場感があり、そして”正確”なブログに或る意味感動しました」等と感想を寄せてくださっていました。
その後何度かやり取りをし、その流れで、この日は診察とは別にご挨拶に伺うことに。YM先生とお会いしてお話しするのは久しぶりでした。先生に、
「ブログ読んでくださってありがとうございました。でも医学的に不正確な記述もあるのではと心配しています」
と言ったら、
「そんなことはありません。自分が患者さんに伝えたいことを、正確に分かりやすく書いてくれていて助かっています。というのも、高山さんのブログがきっかけで女子医大に入院された患者さんは、高山さんのブログの記事を本当によく読んでいるため、治療内容などの説明がしやすいほどなんです」
と言って下さいました。これはうれしかったです。自分のブログが実際に先生や患者さんの役に立っているということですからね。しかも大変お世話になった主治医のYM先生からのお言葉というのが、また一層うれしかったです。
その他、先日の日経コンピュータの記事に関する「偶然」のお話などをして、診察室を後に。
次は放射線科の診察。僕の幼なじみのT君のお兄さん、KM先生です。放射線治療で抜けた髪の毛が大分生えてきたのを見て、「高山くんは永久脱毛にはならなかったね。よかったね」とのこと。放射線治療が始まる前に受けた説明でも、患者さんの中には放射線治療で抜けた毛が生えてこない方もいるとのことだったので、実は少しだけ心配していました。その他の経過も特に問題なし。
その後、視覚障害のリハビリの関係で、高次脳機能検査を受けに入院病棟の検査室へ。病棟のロビーで検査員のNさんを待っていると、入院患者さんのご家族らしき方から「もしかして、高山さんですか?」と声をかけられました。「あれ、もしかして?」と聞くと、まさに僕のブログがきっかけで女子医大に入院し手術を受けられたUさん夫妻でした。
Uさん夫妻は、昨年11月にご主人に脳腫瘍(僕と同じ神経膠腫/グリオーマ)が見つかり、「腫瘍が広範囲に広がっているため手術は難しい」と最初の病院で言われたものの諦めきれず、奥様がネットで調べる中で僕のブログを見つけて、女子医大にセカンドオピニオンを聞きに行き、そのまま女子医大への転院と手術が決まった、という方です。
奥様とはこれまで何度か、ブログのコメント欄やメールでやり取りさせていただいていました。最初の頃にブログにいただいたコメントを抜粋します。
始めまして。 高山さんのブログを読ませて頂きました。 今日、主人が病理検査をし、グリオーマであろうと主治医の方から言われました。また、グレードは1ではなく、右側後頭部に広範囲にあり、手術をするのは難しいと…結果がでるまではわかりませんが、女子医大にてセカンドオピニオンを伺いたいと思いました。主人は32歳で、人生はこれからです。 どうしても治してあげたいので、高山さんのブログを読んだ時、小さな光が見えた気がします。お伺いしたいのですが、何という先生に見ていただいたのでしょうか。(2011/11/26)
主人の病気を治せるかもしれない!と暗闇を歩いていた私達夫婦に光を与えてくださった、高山様のブログ。今日、女子医大に転院しました。そして、12日に手術にて摘出することが決まりました。手術により、左半身が完全麻痺になってしまいますが、この先どんな試練にも立ち向かっていく決意を私達夫婦は決心しました。以前の病院での病理検査結果ではグレード4と言われ、摘出は出来ないと言われましたが、女子医大でのセカンドオピニオンでは、摘出します。とおっしゃって頂きました。私達には、とても心強い言葉でした。女子医大に行くことが出来たのも、高山様のブログのおかげです。本当に本当に感謝の気持ちでいっぱいです。 そして、私が投稿したものに返信をしてくださり、有難うございました。毎日、高山様のブログを拝見させて頂いております。高山様のブログが私の希望の光なので。 また、近況をメールさせて頂いてもいいでしょうか。寒い日が続きますが、風邪をひかないようお気をつけ下さい。(2011/12/7)
その後、12月12日にご主人は手術を受けられました。
偶然お会いした先週のこの日、ご主人は車椅子に乗っていました。でも、とても左半身麻痺には見えません。聞いてみると、麻痺を覚悟していた左半身も大分動かせるようになっていて、なんとすでに杖を使って歩けるまでに回復しているとのこと! 驚きました。リハビリを本当にがんばっているのだろうと思います。
初めてお会いした奥様は、「本当にありがとうございました、高山さんのブログが私たちの希望の光なんです」と言ってくださいました。奥様の涙を見て、僕も涙が出そうになってしまいました。お互いへの愛情にあふれる本当に素敵なご夫婦でした。
この日は、YM先生とUさん夫妻にお会いして、ブログに自分の経験を書いていることが、多少なりとも他の患者さんの役に立っているということが実感できた、いい一日でした。
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【投稿者】nori 【コメント】コメント (1)
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ(幻冬舎 税込1,188円)
脳腫瘍、悪性リンパ腫(白血病)を乗り越えた闘病記。
病院選び、治療法選択、医師との信頼関係の構築、セカンドオピニオンなどの考え方も。
高山知朗(のりあき):
1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校、早稲田大学 政治経済学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、Web関連ベンチャーを経て(株)オーシャンブリッジ設立、代表取締役社長就任。現在、同社ファウンダー。横浜市在住。
2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)の摘出手術。後遺症で視野の左下1/4を失う。
2013年5月から悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ種/急性リンパ性白血病)の抗がん剤治療。合併症で帯状疱疹後神経痛も発症し、現在も激しい痛みと闘う。
2016年年9月、幻冬舎より「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版。
2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病を発症、同年4月にさい帯血移植治療を受ける。
2020年3月、4度目のがんである大腸がんの腹腔鏡下手術を受ける。
現在は妻、娘とともに元気に暮らしている。
メール: nori.tkym[at]gmail.com
([at]は@に読み替えてください)
※病気や治療に関するご相談はメールでもSNSでも一切お受けしておりません。仮に質問などをお送りいただいてもご返事できかねます。私もあくまで一患者であり医療関係者ではありませんのでその点ご理解ください。
※過去の記事も上記リンクからご覧いただけます。
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