書評「経営のやってはいけない!‾残念な会社にしないための95項目‾」

岩松 正記
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日:2010-11-15

2000人以上の経営者を見てきた税理士である著者が、「ビジネスにおいて成功するために『これはしなくていい』ということを明確にします。」というこの本。
僕自身の経営者としての10年弱の経験に照らしてみると、「そうそう、そうだよなあ」と思う部分と、「ん?そうかなあ」と思う部分がありました。それぞれ抜粋。


「そうそう、そうだよなあ」と思う部分。

他社の成功例は、自社での再現性が低い
「企業理念なんて大層なものは要らない。大事なのは利益を出せるかどうか。まずは3年間、利益を出し続けなさい。そうすれば、会社の存在意義や企業理念などというものは、後から自ずと出来上がってくる」(H.I.S. 澤田会長)
起業家には常に、人を雇って組織を作る、言わば「はみ出し者の組織化」という完全なる自己矛盾が付きまといます。
営業に自信のない人は経営者になってはいけない
どんなに良い商品を作っても、売り方が悪ければ商品は売れない。商品力で売れるのは全体の3割に過ぎない。
経営者に真の休みなど無い。その辛さの対価が給料や自由裁量できることなのだと思わなければ、社長業などというものはやってられません。
自分の会社を潰す方法を一つ一つ「潰していく」ことで、万が一のことがあった場合でも会社は持ちこたえられるはずです。
社長の気持ちは従業員には理解できない
友人は雇うな
信用しても任せっぱなしにするな
社長の給料は会社の運転資金
利益は将来発生する費用への引当金
上場企業の研究はムダ
成功体験のないビジネスはするな
人に会わなきゃ商売にならない

ということで、主に「社長とは」、「経営とは」というあたりで納得できる部分がありました。
続いて「ん?そうかなあ」と思う部分。

創業メンバーは未来の幹部にはならない
従業員はすぐ辞める。
従業員教育はムダ
従業員の意見は聞くな
中小・ベンチャー企業にあっては会社の趨勢を決めるのは社長の能力であり、個々の社員に求める仕事の能力などというのは意外とどうにでもなるものです。
会議は議論の場ではなく指示命令の場

主に「社員」、「組織」にまつわる部分ですね。
最後に、「なるほど」と思う部分。

「ブランディング」といえば(中略)要は覚えてもらっているか、思い出してもらえるかということです。何かあった時にふっと思い出してもらえるかどうか。それで勝負は決まりです。

以上のように、納得しにくい部分もありましたが、でも、10年前の自分が読んだら、きっと「え、そうなんだ!」と感じることが多かったのではと思います。
これから起業される方、企業間もない経営者の方には役に立つと思いますよ。
でも一番大切なのは、自分で考えてやってみること。ビジネス書を読んでも、経営セミナーに参加しても、他の経営者の話を聞いても、それを自分なりに咀嚼して、自分でやってみないと、本当にそれが正しいのかどうかは分かりませんし、自分の力にはなりません。
自分で考えて自分でやったことは、うまくいっても、失敗しても、全て糧になります。会社を成長させ、経営者として成長していくには、経営の様々な局面においてこのトライ&エラーを繰り返して、自分なりの考え方ややり方をブラッシュアップしていくしかありません。
本で読んだり人から聞いたりした「形式知」ではなく、それを自分なりに咀嚼して、やってみて、初めて腹に落ちる「暗黙知」が、こと経営ではより重要だと思います。
その暗黙知になる前の形式知を得る手段として、この本は良いのではないでしょうか。
ちなみに著者の岩松さんとは、Twitter関連のイベントで何度かお会いしています。仙台を拠点としつつも、東京で開催されるTwitterのイベントにたびたび参加されるという、税理士らしからぬ行動(?)の通り、エネルギッシュな方でしたよ!

岩松 正記
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
発売日:2010-11-15

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