2015年01月23日

抗がん剤による腎機能障害と利尿剤/患者に言えそうで言えない一言/アメリカからメンターが:白血病・悪性リンパ腫闘病記(72)

前回の闘病記からの続きです。

入院中に家内が差し入れしてくれたタイグリーンカレー

◼︎2013年9月6日(金)。入院117日目。抗がん剤治療開始から109日目。

朝、血液検査の結果を見たMY先生から話がありました。

腎臓の数値であるクレアチニンの数値が上がっています。2.93です。また、体重も増えてきています。これは抗がん剤による腎臓の機能低下の影響です。

腎臓はこれからの治療を続けていくためにも大切なのでしっかり見ていきましょう。基本的に24時間の生理食塩水の点滴で腎臓に負荷をかけて、尿を流して、数値を下げていくという方針です。

この週末の外泊はやはり無理ですね。一難去ってまた一難ですが、しょうがないですね。

クレアチニンは、抗がん剤治療が終われば元の数値に戻る人が多いが、そうでない人もいます。

この日、お見舞いに来てくれた家内からも、「目のあたりが昨日と比べても浮腫んでいる」と言われました。

この日は、アクセンチュア時代の同期のRちゃんがお見舞いに来てくれました。いろいろな話をした後、帰り際にこんなことを言いました。

がんばってね。だけど、たか(僕のニックネーム)はもう十分がんばってるもんね。

さすが同期はいいことを言ってくれる、と二日前のYの言葉に続いて感激、感心してしまいました。闘病中の患者に対して、なかなか言えそうで言えない言葉だと思いました。持つべきものは友だと改めて思いました。


◼︎2013年9月7日(土)。入院118日目。抗がん剤治療開始から110日目。

朝から38.8度の発熱。解熱剤のカロナールを飲みました。

また体重は56.65キロで前日からほぼ横ばいでした。

熱はしばらくしたらカロナールが効いて37.8度にまで下がりました。これで身体が大分楽になりました。

この前日から、帯状疱疹後神経痛のために飲んでいたリリカが中止となっていました。腎臓への負担が大きいためです。痛み止めとしては点滴で合成麻薬のフェンタニルを入れているので問題ないはずとのこと。

朝のMY先生のお話。

腎臓はやはり痛んでいます。回復には時間がかかりそうです。

今日の体重は昨日からほぼ横這いでしたが、増えていないのはよかったです。点滴で500mlx4本の2リットルの生理食塩水を毎日入れていますし、ご自身でも水分を採ってもらっているので、それでも体重が増えていなかったというのは、尿がきちんと出ているということです。この調子で、利尿剤も使って、引き続き対応していきましょう。

なお、血球数については回復したので、アイソレーター(ベッド脇に設置する巨大な空気清浄機)が外せますよ。

血球が回復したのは朗報でしたが、やはり腎機能の低下は気になります。その後の化学療法の継続可否にも影響しますので。

その後、看護師のMTさんと、この腎機能障害について話しました。

先生から言われている目標体重は54kgです。今が56.65キロなので結構シビアですね。利尿剤等で対応していきましょう。

また、尿量を増やして体内から水分を排出するための利尿剤の点滴についても説明してもらいました。

アルブミンは、血液中の浸透圧を上げ、細胞間質から血管内へ水を引っ張ってくる働きをします。保険の関係で使える量に制限があります。

ラシックスは、腎臓の尿細管のループといわれる部分に作用して、尿量を増し、余分なナトリウムやカリウムを排泄してむくみをとります。

アルブミンの後にラシックスを点滴することで、体内の余分な水分を尿として流す作用が期待できます。

こうして薬の作用機序を理解すると、より効果が増すような気がして、入院中は看護師さんや先生によく質問していました。

この日、シリコンバレーから日本に出張中のMiseluの吉川さんがわざわざお見舞いに来てくれました。お見舞いの後、その足で成田エクスプレスに乗って、今度は香港に行くという忙しいスケジュールの中、わざわざ顔を出してくれました。

お互いに、これからの人生をどう生きていくのかなど、いろいろと話しました。

吉川さんは、僕がオーシャンブリッジを設立して独立する前に働いていたインターネット関連ベンチャーの創業者で、今では珍しいシリコンバレーの日本人シリアルアントレプレナーとして活躍されています。先日は、iPad用のモバイル音楽鍵盤 Miselu C.24を発表して話題になりました。

僕は独立する際にも、また独立後も、折に触れて吉川さんから経営や人生についてアドバイスをいただいています。勝手ながら僕のメンターの一人だと思っています。吉川さんと数年おきにお話しすることで、人間として、経営者として、自分を客観的に捉え直すことができます。また前回お会いしてからの自分の成長を確認することもできます。そんな吉川さんが忙しい出張の合間を縫って来てくださったことは本当にありがたく思いました。

夕飯は家内が差し入れしてくれたタイグリーンカレーを食べました。

映画は「マルホランド・ドライブ」を見ました。


◼︎2013年9月8日(日)。入院119日目。抗がん剤治療開始から111日目。

前日の夜、背中の帯状疱疹の患部に貼っているガーゼのテープがかゆくて、寝ている間に無意識にはがしてしまいました。それだけにとどまらず、右腕に刺してある点滴のラインを固定する透明のテープもかゆくてはがしてしまい、その結果、ラインの針が外れ、朝起きたら出血していました。

朝、気づいた看護師さんが対応してくれましたが、痛み止めの麻薬の点滴のせいか、睡眠導入剤のレンドルミンのせいか、とにかく朝起きてもぼーっとして眠く、点滴の針の入れ替えの注射の際、看護師さんから「ちくっとしますよー」と言われた直後に寝てしまったりしました。

実際は点滴のラインの入れ替えはかなり手こずりました。白血病や悪性リンパ腫といった血液系疾患の治療では、毎日のように採血や点滴があるため、注射を繰り返していると、段々血管が硬くなるなどして注射針が血管に刺さらなくなってきます。

この日も若手からベテランまで何人もの看護師さんが入れ替わりで来て、両腕でそれぞれ試しましたが、全員失敗。最終的に先生に助け舟をお願いしたようで、MY先生が来て、サクッと入れてくれました。「先生、さすがですねー!」と言ったら、「看護師さんとは、やってる件数が違いますからねー」とサラッと言っていました。

この日の夜、寝る前には、また点滴の針を外さないように、看護師さんに包帯で保護してもらいました。

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高山の著書

「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」書影・表紙画像\
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ
(幻冬舎 税込1,188円)

脳腫瘍、悪性リンパ腫(白血病)を乗り越えた闘病記。
病院選び、治療法選択、医師との信頼関係の構築、セカンドオピニオンなどの考え方も。

プロフィール

高山知朗(のりあき):1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校、早稲田大学 政治経済学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、Web関連ベンチャーを経て(株)オーシャンブリッジ設立、代表取締役社長就任。現在、同社ファウンダー。横浜市在住。

2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)の摘出手術。後遺症で視野の左下1/4を失う。2013年5月から悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ種/急性リンパ性白血病)の抗がん剤治療。合併症で帯状疱疹後神経痛も発症し、現在も激しい痛みと闘う。2016年10月に脳腫瘍、悪性リンパ腫の2つのがんから卒業。同年、幻冬舎より「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版。

2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病を発症、同年4月にさい帯血移植治療を受ける。現在は妻、娘とともに元気に暮らしている。

連絡先

メール: nori.tkym[at]gmail.com
([at]は@に読み替えてください)

※病気や病院に関する個別のご相談については、まず「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」をお読みの上、ご連絡いただけますようお願いします。いただくご質問に対する回答の多くが、すでにこの本に書かれております。ご理解お願いします。

※いただいたご連絡の全てにご返事できるとは限りませんのでご理解ください。

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