ギリギリでせめぎ合うGVHDと免疫抑制剤/支え合い助け合うがん患者の横のつながりに感動

先日、虎の門病院に急性骨髄性白血病の定期診察に行ってきました。前回の診察からは3週間ちょっとぶりです。
前回と異なり、今回は通常の血液検査と診察でした。そして患者さんたちとのうれしい出会いと再会がありました。
診察待ちでスタバのキャラメルフラペチーノ

診察前のスタバでの出会い

いつものように採血を済ませ、診察までの待ち時間を、スタバで過ごしていました。
すると、初対面の女性から「高山さんですよね?」と声をかけられました。僕のブログと本「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を読んでくださったというOさんでした。ちょうど隣の席が二つ空いていたので、Oさんとお子さんにも座っていただいて、ひとしきりお話ししました。
Oさんは、ご自身の闘病に、僕のブログや本が役に立ったということ。「この本にすごく支えられました」と言ってくださいました。
実際、この時は病院内でOさんの代わりに診察待ちをしていたご主人は、この日も僕の本を持ってきてくださっていたとのこと。
さらにご主人は、僕のブログを頻繁にチェックしてくださっていて、更新があると「高山さんのブログが更新されたよ!」と教えてくれるとのこと。そこまで楽しみにしてくださっていて恐縮に感じてしまいました。
それと同時に、僕がブログを更新するということは、読者の患者さんにとっては、僕が生きて普通の生活を送っていることの分かりやすい証でもあります。
Oさんご夫妻にとっては、同じ病気を闘って乗り越えた患者である僕が、実際に今でも元気に暮らしているということ、そしてそれをブログを通じて共有しているということは、自分で考えるる以上に意味のあることなのかもしれません。

山本先生の診察

Oさんがご主人からの電話で診察室に戻った後、僕も診察室前に戻りました。山本先生の診察です。
山本先生の診察では、まず自分の体調からお伝えしました。

皮膚のGVHD

一番は、皮膚のGVHDです。前回の診察や看護支援外来、長期フォローアップ外来でも話をしましたが、そのときから比べても、顔の皮膚のGVHDが強くなっています。特に額や目の脇が部分的に赤くなったり黒くなったり、さらには色が抜けて白くなったりしています。
ただこれについては、前回、湯浅先生や移植コーディネーターの成田さん、看護士さんに言われたのと同様、ヘパリン類似物質(ヒルドイド)のスプレーやクリームで保湿を徹底すること、そして紫外線対策を徹底することしかできることはありません。

目のGVHD

もう一つ、気になる症状として目の話をしました。長時間外出した後などに、目が痛くなることがあります。目がしばしばします。また夜布団に入った後に涙が出ることがあります(別に闘病が辛く悲しくて泣いているわけではありません)。
その話をすると、山本先生は、「目のGVHDでしょう。涙の量が減り、目が乾燥して、表面に傷がつき、痛んでいるのだと思います」とのこと。確かにそんな気がします。
山本先生は「眼科を受診したほうが良さそうですね」とのことで、次回の診察の日に眼科を受診することになりました。これを書いている今もなんとなく目が痛いので、眼科でしっかり診てもらえればと思います。

肝臓のGVHDと免疫抑制剤

僕の状況をお伝えした後、この日の血液検査の結果を山本先生に説明していただきました。
ここのところずっと気になっている肝臓の数値は、おおよそ横ばいでした。
ASTは前回と比べると58→59と横ばい。
ALTは74→94と増加。
LDは263→267とほぼ横ばい。
総ビリルビンは1.1→1.4と増加。
AST、ALT、LDはおよそ横ばいでしたが、総ビリルビンが増加したことで、肝機能障害による黄疸の心配が増加しています。
細かくは書きませんが、白血球、赤血球、ヘモグロビン等の血球の値は問題なし。血小板が69→66となかなか増えてこないのは気になりますが、これもしょうがありません。
肝臓の数値については、前回とおよそ横ばいでした。そのため、山本先生も、前回診察時の湯浅先生とほぼ同じような見解でした。
つまり、今のところ、肝臓の慢性GVHDは黄疸等の症状が出るまでのギリギリの線でせめぎ合っており、薬で介入するかどうか非常に微妙なところ。とのことです。
薬による介入とは、この場合、免疫抑制剤の再開となります。でも、せっかく入院中に免疫抑制剤をやめ、ここまできたのに、また再開するのは避けたいのが本音です。
免疫抑制剤を再開すると、移植したさい帯血由来のリンパ球が、僕の肝臓や皮膚などを異物と見て攻撃するGVHD(移植片対宿主病)は抑制できますが、同時に、そのリンパ球が白血病細胞を攻撃するGVL(移植片対白血病)効果が弱まってしまいます。つまり白血病の再発を防ぎ治癒を目指す上ではマイナスとなります。
僕の気持ちとしては、あと5ヶ月は、なんとか免疫抑制剤を使わずに、GVHDも悪化することなく、現状維持で乗り切れればと思っています。5ヶ月後の10月14日は、昨年4月のさい帯血移植から1年半となります。
入院中、湯浅先生からは、「高山さんの急性骨髄性白血病は移植後1年〜1年半での再発が多くなっています。つまり、移植から1年〜1年半を再発なく乗り越えれば、その後は再発する可能性は非常に低くなります」と言われていました。
山本先生は、前回の湯浅先生同様、「免疫抑制剤(今回の場合はステロイド)は使わずに様子を見ましょう」と言ってくれました。
移植後1年半が経過する今年の10月14日まで、何とか現状のまま、再発せずに乗り切りたいと思っています。

患者仲間のみなさんをお見舞い

診察が一通り終わって会計を待っていたら、経営者仲間の友人、古瀬さんにお会いできました。たまたまご家族の診察のために長崎の五島列島から出てきていたとのことで、当日もFacebookでやりとりしていたのですが、ちょうどタイミングよくお会いできました。
その後、入院病棟に行き、患者仲間のみなさんをお見舞いしてきました。先日パティスリーヴェルプレさんで買ったゼリーを持って。
まずはYさん。去年の入院中には同じ病室にもなった方です。僕が入院当初、さい帯血移植を前に不安に駆られていた頃、「大丈夫。僕が会った患者さんはみんな元気になって家に帰っているから、高山さんも大丈夫」と言って手を強く握り、パワーを送ってくれました。下記はそのころのブログ記事です。
▼言葉にパワーが溢れる70代の臍帯血移植患者、Yさんとの出会い|オーシャンブリッジ高山のブログ
このころ、ご自身もさい帯血移植後の合併症と闘っていたのですが、そんな中で僕のことを非常に勇気付けてくださいました。実際にさい帯血移植を乗り越えた方からの力強い言葉には、入院中、本当に支えられました。
そのYさんが、病気の再発により、現在入院されているとお聞きし、お見舞いに行ってきました。Yさんは、退院後、娘さんとインドに行くのを楽しみにされています。
僕はYさんの手を握り、こう言いました。「僕は入院中、本当にYさんに勇気付けていただき、そのおかげで移植を乗り越えることができ、今があります。だから、今度は、僕からYさんにパワーを送る番です。インドに行くためのパワーを送ります」
Yさんは、「行くよ。僕はインド行くよ」と力強く言いました。僕の手を握る力も驚くほど強いものでした。
そして僕は「Yさん、絶対にインドに行けますからね。いや、Yさんはインドに行きます。娘さんとインドで撮った写真を楽しみに待ってますからね」とお伝えしました。
その後、隣の病室のAさんをお見舞いしました。僕と妻は、僕の入院中、Aさんのお母様にいろいろ助けていただきました。でも残念ながら、病棟移動のタイミング等が合わず、僕がAさんとお会いするのはこの日が初めてでした。Aさんのお母様とはFacebookでつながっており、それでAさんが再発で3度目の移植のために入院されたということを知りました。
Aさんは、僕のブログがきっかけで、地元の病院ではなく虎の門病院での治療を希望したとのこと。「高山さんのブログを読んで虎の門病院に来た患者さん、周りにいっぱいいますよ」とAさん。
「高山さんのブログは読んでも暗くならないのがいいんです。高山さんは患者みんなの希望なんです」とAさんのお母様。ブログや本がみなさんのお役に立てているのであればこんなにうれしいことはありません。
僕よりお若い女性のAさんを、僕は勇気付けるつもりでお見舞いしました。でも、僕のほうが、移植後の生活などのアドバイスをいただいてしまいました。「さすがに移植も3回目ですから、変な話、慣れてます」と話すAさん。直前の僕の診察でのGVHDの話をしたら、皮膚のケアにおけるワセリンの使い方や外出時のサングラスなど、いろいろアドバイスをいただきました。
僕はAさんに、「退院したらやりたいこととかあるんですか?」と聞いたら、「旅行とかにも行きたいですけど、でもまずは、末梢血移植で造血幹細胞を提供してくれた弟に感謝したいですね。弟と乾杯します。オレンジジュースですけどね」とのこと。
Aさんは、今の虎の門病院の担当医であるT先生のことを心から信頼しているようです。僕も少しだけT先生にはお世話になりました。看護師さんたちからも非常に評判のいい先生でした。
本当に強い信頼関係で結ばれたT先生の治療を受ければ、Aさんも早い時期に回復し、弟さんとオレンジジュースで乾杯できるものと思います。そして完全にがんを乗り越えられるはずです。僕もオレンジジュースでの乾杯の写真を楽しみにしています。
AさんとYさんも、以前から患者同士で助け合っています。実はこの日の前日、Yさんの娘さんと、Aさんのお母様に、個別に、お見舞いに行っても大丈夫かの確認のメッセージをお送りしました。
すると、Yさんの娘さんからは、「隣にAさんがいるのでお見舞いに行ってみてください」と返事があり、Aさんのお母様からは、「隣にYさんがいるので行ってみてください」と返事がありました。
患者同士の横のつながり、そして支え合い助け合う心に、非常に感動してしまいました。
そうした患者さんたちに、僕の本やブログが少しでも役に立っているのであれば、こんなにうれしいことはありません。
この通院日も、うれしい出会いや再会に満ちた、すばらしい一日となりました。
お時間をいただいたYさん、そしてAさん、Aさんのお母様、お祖母様、すばらしい時間をありがとうございました。

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