2015年10月08日

西洋医学と民間療法/がん治療の考え方

最近、有名人の方のがん闘病に関する報道が相次いでいます。

闘病の末に胆管がんで亡くなられた川島なお美さんについて、ある医師の方が書かれた下記の記事を読みました。

▼勤務医 開業つれづれ日記・2:■肝内胆管癌について「“とんでもない医者”との出会いも……川島なお美、がん手術決意するまでの葛藤明かす」「川島なお美さん、手術後は抗がん剤治療拒み民間療法」:追記、追々記あり

結局は肝内胆管癌になった時点で病気自体が非常に厳しいのでいろいろと難しい点が多かったのは事実だと思います。

でも医学的には民間療法は生命予後を改善しません。早期の診断と手術が最大でほぼ唯一の有効手段です。

がんにはいろいろな種類がありますし、悪性度や進行度合い、患者さん本人の状態などにより、治療の選択肢にはさまざまな可能性があります。西洋医学における代表的ながん治療は外科手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療です。そして川島さんのように、民間療法や健康食品を選ぶ患者さんもいらっしゃいます。

自分の場合、2回のがん闘病を通じ、治療の方針については以下のように考えていました。

少しでも高い生存率を期待できる西洋医学の治療を受ける。治療の選択においては医学的根拠、エビデンス(生存率改善等のデータ)を重視する。

もし西洋医学だけでは十分な生存率が期待できない場合、代替療法を試すことも考える。(→結果的には試さず)

悪性脳腫瘍(グリオーマ)のときは、最初は「悪性度はグレード3〜4です。グレード3の場合は5年生存率の平均は25%、グレード4の場合は7%です」と説明を受けました。でも同時に、東京女子医科大学病院で手術を受けた場合、グレード3の5年生存率は78%、グレード4は13%であると聞いて、「何としてもこの78%の中に入りたい」と考えました。術後の病理診断の結果がグレード4ではなく3であることを願うとともに、手術で腫瘍が取り切れること(腫瘍摘出率が100%に近いこと)を願いました。腫瘍摘出率が予後に影響すると聞いていたからです。

手術の結果、グレードは3、腫瘍摘出率は98%(術中MRIで確認できる腫瘍は全摘)となりました。その後、再発を防ぐために放射線治療と抗がん剤治療を受けました。この夏に手術から丸4年が経ちましたが、お陰さまで再発の兆候は一切ありません。

このように西洋医学で高い生存率が期待できる治療があり、その治療を開発した先生方(女子医大の村垣善浩先生、丸山隆志先生)に診ていただくことができたため、その先生方を信頼してお任せするのみでした。

白血病・悪性リンパ腫のときは少し状況が異なりました。

最初の診断のとき、「B細胞性リンパ芽球性リンパ腫という悪性リンパ腫で、急性リンパ性白血病と同じ病気です。標準治療があるため、どこの病院で治療しても同じです。5年生存率は40%です」と言われました。「どこで治療を受けても40%」という事実にショックを受けました。

それでも、「標準治療を超える治療をしてくれる病院はあるはずだ、少しでも高い生存率を期待できる治療を受けたい」と思い、周囲にも相談する中で、家内が見つけてくれた虎の門病院の谷口修一先生の記事が決め手となり、虎の門病院に入院しました。7ヶ月間入院し、化学療法(抗がん剤治療)を受けました。

入院中は、インターネットで最新の治療方法に関する英文の論文を50本ほど読み、先生方とも長時間議論しました。その中で、3年生存率が66%という論文を見つけました。その論文にある治療方針、特に退院後の維持療法(抗がん剤治療)の方針について、先生とも合意し、その方針で進めることになりました。

その結果、無事にがんは寛解(画像診断上、がん細胞が見つからない状態)となり、退院しました。退院後は1ヶ月通院して放射線治療を受けました。その後、半年ほどしてから維持療法を開始し、現在でも継続中です。こちらもお陰さまで再発の兆候は一切ありません。

白血病での入院中は、学術論文もたくさん読みましたが、代替療法の本もいろいろ読みました。以前、社会問題にもなったホメオパシーの本も読みましたし、イメージ療法(サイモントン療法)やレイキなどの本も読みました。

西洋医学だけでは生存率が40%なのであれば、使えるものは何でも使って、生き残るほうに入りたい、と考えていました。エビデンスがなくても、患者が効くと思って試せば効くこともあるはず(プラセボ)、と考えて、退院したら一つ一つ試してみようと思っていました。

でも結局、代替療法を試すことはありませんでした。入院中の化学療法の効果で寛解となり、その後、現在に至るまで抗がん剤治療を続けている中で、「きっとこのまま完治できる。西洋医学で治せる」という自分なりの確信が得られたためです。

でも、もし西洋医学ではもはや打つ手がない、という状況になっていたら、藁にもすがる思いで代替療法、民間療法に頼っていたかもしれません。

実際、僕の妹が乳がんで闘病中、代替療法を取り入れていることで有名な医師のもとに妹を連れて行ったこともあります。発見時点ですでに肝臓に転移しており、西洋医学の観点ではかなり難しい状況だったためです。その後、残念ながら妹は30歳の若さで2人の子どもを残して旅立ちました。肝転移する前に早期発見できていれば、状況は違ったかもしれません。

こうした自分自身の経験、妹の闘病時の経験を考えると、民間療法や代替療法も一律に否定する気持ちにはなりません。でも同時に、根拠が明確でないそうした方法「だけ」に、自分の命をかけることはできない、とも思います。

やはりがん治療においては、できるだけ早く発見すること、そして発見後、できるだけ早いタイミングで、最も治療効果が高いと医学的に証明されている治療を受けることが、一番大切だと思います。

その西洋医学的な治療を柱としつつ、補助的に民間療法や代替療法を取り入れること、あるいは西洋医学的な治療が限界となった場合に、最後の手段として民間療法や代替療法に頼ることは、あってもいいのだろうと思います。直接的な治療効果はなくても、少なくとも患者自身の気持ちが落ち着く等の精神的な効果はあると思いますから。

前述のように、がんの治療は本当に患者それぞれによって異なります。何が正しいのかは誰にも分かりません。川島なお美さんの報道を見て、自分の経験や妹の闘病時のことを思い出し、考えたことを書いてみました。

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プロフィール

1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校→早稲田大学 政経学部→アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ→Web関連ベンチャー→(株)オーシャンブリッジ設立・代表取締役社長就任→現在、同社ファウンダー。横浜市綱島在住。趣味はおりがみ。2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)摘出手術を受けました。2013年5月から7ヶ月間入院して急性リンパ性白血病の抗がん剤治療を受けました。帯状疱疹後神経痛も。2016年10月にがんから卒業しました。2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病の闘病に入りました。

メール: nori.tkym[at]gmail.com

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