ビジネスマンの必読書「日本語の作文技術」(本多勝一著)を読み返す。

先日久し振りに、本多勝一の「日本語の作文技術」を読み直しました。

日本語の作文技術 (朝日文庫)
日本語の作文技術 (朝日文庫)

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本多 勝一
朝日新聞社出版局
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この本を初めて読んだのは学生時代。たまたま夏休みの課題図書の一つになっていたことから、何気なく読んだのですが、予想に反して非常に感銘を受けたのを覚えています。その後、コンサルティング会社勤務時代、ベンチャー勤務時代、そしてオーシャンブリッジ設立後の今に至るまで、折に触れて読み返している名著です。
この本の目的は、読む側にとって分かりやすい文章を書けるようになること。そのためには、文法などの知識とは違う作文のための技術が必要であり、それを解説したのが本書です。
例えば、

(A) 白い横線の引かれた厚手の紙
(B) 厚手の横線の引かれた白い紙

(A)は読みやすいが、(B)は読みにくいし誤解を生みやすい。なぜか。

(A) 初夏の雨が豊かな潤いを若葉に与えた。
(B) 若葉に豊かな潤いを初夏の雨が与えた。

同じく(A)は読みやすいが、(B)は読みにくいし誤解を生みやすい。なぜか。

チリ美人は、アルゼンチンの肉をたっぷり食べているセニョリータにくらべると、ぐっと小柄である。(「女ばかり南米大陸をゆく」読売新聞社)

これは読みにくいが、こうすると読みやすくなる。

肉をたっぷり食べているアルゼンチンのセニョリータにくらべると、チリ美人はぐっと小柄である。

どういう視点で改良したのか。

戦前からの業界の流れを知る幹部も、若手も今年の漁獲やかつての北洋について聞くと、うしろめたそうな顔になった。(「朝日新聞」1974/9/5夕刊)

これは読みにくいが、こうすると読みやすくなる。

戦前からの業界の流れを知る幹部も、昔のことは何も知らない若手も、今年の漁獲やかつての北洋について聞くと、うしろめたそうな顔になった。

どういう視点で改良したのか。
以上は、本書に紹介されている、修飾語の語順に関する4つの原則と、句読点の打ち方に関する2つの原則の適用例です。
こうした具体例を踏まえつつ、読み手にとって分かりやすい日本語を書くための「技術」を解説してくれている本書。メールを始め、ブログやTwitterなど、文章を書く機会が非常に増えている現代のビジネスマンにとっては必読書と言ってもいいのではと思っています。実際、オーシャンブリッジでは必読図書の一冊に指定しています。
今回この本を改めて読み直したのは、来週開催予定の社内勉強会「高山塾」のテーマが「ライティング」だから。
オーシャンブリッジの日々の業務では、部署や担当に関わらず、文章や文書を書く機会が多くあります。中でも、プレスリリース、Webサイトコンテンツ、パンフレット、導入事例、ホワイトペーパー、製品紹介資料など、多くのお客様の目に触れる文章・文書については、スタッフが作成したものを僕がレビューしています。
そうしたレビューをしている中で、僕が施した修正の背景にある考え方や技術について、スタッフに体系的にレクチャーしておく必要があると考えていました。そのため今回の高山塾のテーマは「ライティング」としました。その高山塾の教材作成のために、改めて「日本語の作文技術」を読み直した次第。やはり名著です。
なお、この「日本語の作文技術」とともに、オーシャンブリッジで課題図書になっているライティング関係の本があります。それは「考える技術・書く技術」(バーバラ・ミント著)。これも先日改めて読み直してみました。この本についても、後日このブログで紹介してみたいと思います。
あ、この記事を書いている中でも、もちろん「日本語の作文技術」で紹介されている原則を何度も適用していますよ。
●日本語の作文技術 (朝日文庫)

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