退院しました(その2)僕の病気について〜白血病 / 悪性リンパ腫

前回の記事からの続きです)
今回の僕の病気は、医学的に正確に書くと、「急性リンパ性白血病 / B細胞性リンパ芽球性リンパ腫」となります。白血病でもあり、悪性リンパ腫でもあります。この二つの病気のがん細胞は、病理学的には同じ細胞であり、WHOの分類でも同じ病気とされています。あえて区別をするなら、骨髄中のがん細胞の割合が25%以上の場合は白血病とされ、25%以下の場合は悪性リンパ腫とされています。悪性リンパ腫の場合、がん細胞は主にリンパ節や骨、皮下組織に多く存在します。僕はこちらに該当します。


僕のがん細胞は、お尻の仙骨(背骨の一番下の骨)の左側から発生しその周囲に広がって腫瘍を形成していました。仙骨から左足に出ている神経を圧迫し、激痛を引き起こしていました。なお、脳腫瘍とは関係ありませんでした(つまり転移等ではない)。
最初に、国立がん研究センター中央病院でこの病気だと診断された時、僕が医師に最初に聞いた質問は、「5年生存率はどのくらいでしょうか?」というものでした。答えは「標準治療が確立されており、40%程度です」というものでした。
驚きました。「それでは困る。標準治療が確立されているのはいいが、死んでしまう確率の方が高いじゃないか」と思いました。それから、いろいろな方に相談したり、ネットで調べたりして「標準治療に頼らず、それ以上の治療成績を期待できる、白血病・悪性リンパ腫に強い病院」を探しました。そしてたどり着いたのが、虎の門病院であり、そこの血液内科部長の谷口修先生でした。谷口先生が出演されたNHK「プロフェッショナル〜仕事の流儀」のウェブサイトの記事が決め手となりました。中でも、

谷口のもとに来る患者は、重篤な患者がほとんど。教科書や文献を探しても、答えは書かれていない。最善の治療法を、自ら見い出さなければならない。まさに考え抜く「根性」が必要なのだ。

という部分に惹かれました。「標準治療の枠を越えて、僕の病気を治してくれるのではないか」と期待が高まりました。
実はこの時の病院探しでは、脳腫瘍の時にお世話になった東京女子医科大学の村垣教授にもご相談していました。そのため、村垣先生に「虎の門病院の谷口先生にお世話になりたいのですが」と電話でご相談したところ、30分ほどして先生から電話があり、「今思い出したんですが、そういえば一年半ほど前に、ある食事会で谷口先生とたまたまお会いし、名刺交換もして、その後何度かメールのやり取りもしていました」とおっしゃいます。それを聞いた僕は。喜んだと同時に、不思議なご縁に驚きました。続いて「今、高山さんのことを診てもらえるようメールでお願いしておきました。返事があればまた連絡します」とのこと。
そしてこの翌日には、外来で谷口先生の診察を受けている自分が虎の門病院にいました。そして週明けの月曜日の入院が決まり、すぐに検査や治療が始まりました。この谷口先生と村垣先生の不思議なご縁に導かれ、非常にスピーディに入院治療がスタートできたのは、本当に幸運でした。僕のリンパ腫は悪性度が最も高く、週単位で進行していきます。病院捜しをしている間にも進行しています。そんな中で、不思議なご縁から、考え得る最短の日数で自分が望む病院に入院できたのは、本当にありがたく、また本当に不思議でした。
入院から数日後、先生方から治療方針の説明がありました。まずは強力な抗がん剤治療(Hyper-CVAD/MA療法)で、がん細胞をできる限り叩くとのこと。そしてその後は、骨髄移植の可能性も含めて治療方針を決める、とのこと。
虎の門病院の先生方の感覚では、抗がん剤治療だけでは、2/3の患者が再発してしまい、抗がん剤治療だけで治癒する患者は1/3つまり33%しかいない、とのこと。だから、根治を目指すなら、抗がん剤治療の後、しかるべきタイミングで骨髄移植に踏み切った方がよいとのこと。
ただ、移植治療は、いろいろな意味で、非常に厳しい治療です。移植治療をしたことが原因で死んでしまう移植関連死が一般に2〜3割(虎の門でも1〜2割)もあります。治療自体も3ヶ月〜半年、人によっては一年以上もかかる非常に苦しいもので、知り合いの移植患者さんは、二ヶ月にわたり、口から一切ものが食べられなかったとのこと。また治療に成功して退院した後も、GVHD(移植片対宿主病)という合併症に悩まされ、以前の生活を取り戻すには、2〜3年はかかると言われます。さらに、移植しても根治せず、また再発してしまうケースも1〜2割はあるとのこと。これらの移植関連死や再発等を考慮すると、移植による長期生存率は6〜7割程度ではないか、とのこと。
先生からは、「抗がん剤治療の後に、移植をするかどうか、また考えておいてください」と言われました。ちなみに、学会内では、僕と同じ病気に関し、移植をすべきかどうか、するならいつのタイミングですべきかについては、明確な指針やエビデンスがありません。だから先生も、どちらがいいとははっきり言えません。でも、「どちらかと言うと、移植をした方が長期生存の可能性は高まるのでは・・・」とも言われました。
悩みました。移植は根治が期待できる一方、治療そのものが原因で死んでしまったら元も子もありません。また、「移植後は、いろいろな点で、元の自分とは違ってしまいます」という先生の言葉や、「今のように、元の生活や仕事を取り戻すまでに、三年かかりました」というある移植後の患者さんの言葉(看護師さんから聞きました)が、心に残っていました。
しかし、いろいろ調べていくと、アメリカの最新の研究では、僕のタイプの悪性リンパ腫/急性リンパ性白血病患者が、移植をせずに、最新の抗がん剤治療だけで長期生存しているという研究データが多数報告されていました。そして幸いにして、僕も最初から、主治医の先生方の判断で(僕が希望したわけではなく)、それらの論文と同じ最新の抗がん剤治療、つまり「Hyper-CVAD/MA + リツキサン」を受けていました。ある論文では、この治療法(レジメン)による、僕の年代(40代)の患者の3年生存率(3年寛解維持率)が60〜75%にも達していました。日本の先生方の言う1/3、つまり33%とは大きく差があります。
この頃、僕はiPadでネットを検索し、この病気に関する最新の英文の論文、特に、僕と同じタイプの病気が抗がん剤治療だけで治った(生存率が上がった)という論文を探し出し、PDFでダウンロードして、GoodReaderというiPadアプリで開いて、重要な箇所にラインを引きながら読み込み、そしてそれをMY先生にぶつけて議論していました。廊下でMY先生を見つけて捕まえて、ロビーのようなところのベンチで20分ほど話したこともあります。
「先生方の感覚では抗がん剤治療のみでの長期生存率は1/3と言いますが、この論文の通りアメリカでは、同じ治療法(レジメン)で60〜75%の患者が長期生存しています。僕もその中に入れるのでは?」
「虎の門病院のやり方と、論文に書かれたアメリカの病院のやり方に、同じ治療法(レジメン)」でもどこか違いがあるのでは?」
などと質問していました。この2つ目の質問に対しては、初期の入院による抗がん剤治療の後のメンテナンス(維持)療法の有無かもしれないという話になりました。虎の門病院ではHyper-CVADのような強い抗がん剤治療を行った後には、QOLを考えて、基本的にメンテナンス療法はしていない、なぜならそれが長期生存につながることを示すエビデンス(データ)が十分にないから、とのこと。でも僕が見つけた論文(60〜75%の生存率)では、飲み薬の服用や半年後、一年半後の抗がん剤点滴など、しっかりしたメンテナンス療法が行なわれており、それを含めての高い長期生存率でした。
だから僕もMY先生に、「僕も同じようにメンテナンス療法を受けさせてください」、とお願いしました。先生は快く、「いいですよ。退院後の外来診察はGY先生が担当なので、相談しながらやっていきましょう」と言ってくださいました。
MY先生は、僕のようなうるさい患者に、本当に根気強く付き合ってくださいました。僕がお見せした論文も、もともと日々の研究活動の中で目を通していたものが多かったようです。それを改めて僕の目の前で素早く目を通し、僕の質問に答えてくださいました。
そして、この先生との議論のプロセスを経たお陰で、治療方針が明確になりました。つまり、「骨髄移植をせず、抗がん剤治療のみで治す」、という方針です。議論のお陰で、この方針に心から納得でき、生き延びることに対する不安が減少し、精神的に安定してきました。
この治療方針により、当初聞いた生存率40%でなく、また先生方の感覚に基づく33%でもなく、生存率75%での勝負、つまりいかに自分を75%の長期生存者の枠に入れるかの勝負となってきました。
そして先日、この治療方針に基づいて、抗がん剤治療「Hyper-CVAD/MA + リツキサン」を一通り完遂しました。当初予定では8コースの予定でしたが、副作用の関係により、1コース減らして7コースを完了しました。1コースの違いは、治療効果には大きく影響はないでしょうとの先生のお話でした。
そしてこの一連の抗がん剤治療の結果を評価するためのPET-CT検査では、がん細胞は仙骨部はもちろん全身どこにも見つからず、「寛解」との診断を受けることができました。これを聞いた時には、7ヶ月間にわたり苦しい治療に耐えてきたのがようやく報われた気がしました。
ただ、この病気は再発が非常に多く(だから長期生存率が低い)、寛解といっても全く安心できません。これから1年、3年、そして5年のマイルストーンを、再発無く、寛解を維持していくことができるかが重要です。今後、1月の放射線治療や、その後に開始予定のメンテナンス療法(飲み薬等)を含め、また先生方と相談しつつ、しっかりと手を打って、再発を防いでいきます。
そして、人生の目標である「娘の二十歳の誕生日を、娘と奥さんと一緒においしいお酒で乾杯してお祝いする」を必ず達成します。
前の記事に書いたように、しばらくは自宅療養ということで、家でのんびりさせてもらいます。自分の体力とともに、娘と家内と三人で過ごす時間を取り戻したいと思います。
またこの間、抗がん剤治療の副作用でしびれが残る手指のリハビリがてら、このブログに白血病/悪性リンパ腫闘病記を書こうかと考えています。脳腫瘍(グリオーマ)の時のように、僕の経験が、同じ病気の患者さんやそのご家族のお役に立つことができればと思います。
以上、2つの記事にわたる長文となりましたが、退院のご報告でした。本当にみなさんにはご心配をおかけしました。でもこうして退院し、病状についてこうして詳しくご報告ができる状況となり、本当によかったです。長期生存率があまりに低ければ、とてもここで公表することはできませんので。またこの場にこうして書いたことで、「長期生存率75%に入るぞ!」という自分の信念の強化にもなるものと思います。
これから、絶対に再発させないように生きていきます。
重ね重ね、ご心配くださったみなさん、ありがとうございました。

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「退院しました(その2)僕の病気について〜白血病 / 悪性リンパ腫」への15件のフィードバック

  1. まずは退院おめでとうございます!!
    主人と心配していましたが、新たな難敵が現れていたんですね…これからは毎日、元気の源であるご家族と一緒ですから
    みるみる体力も快復するでしょう。3歳の娘さんとの濃密な毎日を楽しんでください!(言い間違いがカワイイ時期ですし!)
    そして念願の温泉にも早く行けますように!
    退院出来て本当によかったですね、私も本当に嬉しいです。

  2. 高山さん、お久しぶりです。
    そんな病気になっていたとは、、、驚きました。
    神様からの試練としか思えません。
    私は最近、アニータ・ムアジャーニさんの「喜びから人生を生きる」という本を読みました。
    ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫の一種)の末期で臨死体験した女性が、臨死体験の中で様々な気付きを得て生還したら、体中の癌が消えていた、という内容でした。
    主人も今頑張っているので、人事とは思えず感動しました。
    高山さんも体力が回復したらぜひ読んでみて下さい。勇気100倍になりますよ!ともに元気で長生きしましょう!

  3. 高山さんまずは本当に退院おめでとうございます。そして、本当にお疲れ様でした。
    昨日夜10時頃子供も寝付いて私と女房もテレビを消して寝ようかと思った時に高山さんどうしたのかなぁなどと話しながらブログを開いてみると更新してあったのでびっくりして女房と読み高山さんの近況を知る事になりました。この半年の間何があったのか女房と心配していましたが、私たちの想像を超える戦いをされておられたんですね。
    今日は早速LBLについて私も調べてみました。1990年以降完全寛解率が非常によくなっている事、また、2004年には今回高山さんが投与された抗がん剤を行いさらに2年間の維持療法を行うことで完全寛解率91%、3年間の無病生存率66%、全生存率70%という良好な治療成績が発表されている事もしりました。しかも来年は2014年このほうこくから10年が経過しています。更なる良好な治療法も必ずでてくるでしょう。私も女房がグリオーマを発症し手探りで北は北海道からあちこちにわらをもつかむ思いでセカンドオピニオンに走り、高山さんのブログを知り
    高山さんとも会い女房も私もとても勇気つけられた事を思い出します。
    私はこう考えます。世の中の常識は何か少し手を加え、少し視点を変える事により非常識になる。この先女房が病気をもし再発しても諦める事なく
    世界中走りまわってでも治してくれるドクターと治療法を探すつもりです。もちろん高山さんも何がおきてもお嬢さんの20歳まではそのおつもりでしょう。でも20歳といわずお孫さんをみれるようにもっと欲をもってください。
    今日はクリスマスイブですね、7ヶ月の疲れをお嬢さんと奥様の笑顔で吹っ飛ばしてください。
    私も今日は愛娘と女房と長女の友達と4人でイブを過ごす予定です。
    少し元気になられたら是非お会いしたいと女房とも楽しみにしています。
    それではいいクリスマスイブをお過ごし下さい。
    Happy Christmas 広島の有吉

  4. ちゃーりーさん、
    コメントありがとうございました。
    そうですね、早く3人で温泉に行けるくらいには体力を回復したいですね。
    その後は沖縄、ハワイ、タヒチ等々、3人で行きたいところはいろいろありますので!
    ご心配いただき本当にありがとうございました。

  5. おととい、こちらを覗いて、あまりのことにすぐにはコメントできませんでした。
    入院が長引かれていたので、やっかいな免疫系の病気かと案じていましたが、まさかこの病名とは。なんと申し上げてよいのかわかりません。
    ただ今回も最善の治療を受けられたことと、高山さんの強い気持ちがあれば、お嬢さんの二十歳の誕生日はきっと祝えます。
    どうかお大事になさってください。

  6. てるたさん、コメントありがとうございます。
    アニータ・ムアジャーニさんの「喜びから人生を生きる」ですが、昨日、いただいたコメントを改めてMacで見て、アマゾンで発注しようかな、と思って何気なくテーブルを見たら、なんとこの本がテーブルの上に!実は数日前に、何気なくアマゾンを見ていた時に、アマゾンからのお勧めか何かで見つけて、てるたさんお勧めの本だとは気づかず、発注していたようです。
    でもきっと、てるたさんのコメントを見た段階で書名が潜在意識に刷り込まれ、アマゾンを見た時に潜在意識が気付いて反応したのだと思います!ありがとうございます!読んでみます!

  7. 広島の有吉さん、コメントありがとうございます。
    入院中も何度もメールをいただいていたようで、ありがとうございました。
    B-LBL(B細胞性リンパ芽球性リンパ腫)についても調べていただいたようでありがとうございます。恐らくこちらのサイト「リンパ芽球性リンパ腫:[がん情報サービス]」をご覧になられたのではと思います。まさにご指摘の箇所、2004年にThomas医師らがHyper-CVAD/MTX+Ara-C療法により高い治療成績を得たという情報を取っ掛かりとして、私も米国の論文を調べ、医師と議論して、治療方針を決めました。有吉さんも想像されているように、その後も治療法は進歩し、同じThomas医師が所属するアメリカのMD Anderson Cancer Centerはその後、Hyper-CVADに分子標的薬のリツキシマブ(リツキサン)を組み合わせることで、更に治療成績を上げることに成功しています(僕も同じくリツキサンを使いました)。虎の門の先生方はこのあたりの最新の治療方法についても常に目を光らせているので、患者としてもありがたかったです。
    僕も、いつも娘の20歳の誕生日までは・・・と書いていますが、心の中では、娘の結婚式や、孫の出産なども見届ける予定でいますので、ご安心を(笑)。
    お陰さまで、家族三人で、楽しいクリスマスイブを過ごすことができました。ありがとうございます!

  8. 南姫さん、コメントありがとうございます。
    (ブログもちょこちょこ見させていただいていますよ)
    娘の二十歳の誕生日は、きっと一緒に祝えることと、僕も100%信じています(笑)
    そのためにも一日一日無理せずやっていきます。
    ありがとうございます!

  9. まずはご退院おめでとうございます。
    たまたま同じ病気を体験した戦友としてコメントします。私は最初に肝臓に症状が出て、一ヶ月以上肝炎の治療を受けさせられました。高山さんと違って、ただおろおろするばかりで、先生の指示に従っておりましたがγGTP値が8000を超え、家内がセカンドオピニオンを取ると言いだして別の病院に転院して、いろいろな検査の結果ようやく悪性リンパ腫であることが判明しました。その間にも病状は進行して、黄疸で身体中がまっ黄色でした。それも悪性リンパ腫と断定されたわけでもなく、「可能性は高いが、違う可能性も否定できない。しかし状況証拠から抗がん剤治療を一刻も早く始めたいので同意して下さい」と言われて、承諾書にサインをしました。既にステージIVでしたから(他臓器に影響が出ている場合にはステージはIVとなります)、ネットで調べると当時の確率ではやはり30〜40%程度でした。
    でもね、抗がん剤の効果が出て、もう6年半も生きています。既にご存じだと思いますが、悪性リンパ腫と白血病は抗がん剤の効果が認められている数少ないがんなのです。その意味では、ラッキーだと思います。
    もちろん同じ病気で旅立った病院仲間もいます。でもそれはそれ。与えられた命を公開しないように生きていくことこそが意味のあることです。
    ちなみに私は「再発や転移があっても移植だけは拒否する」と決めていました。高山さんが書かれているようにリスクの方がうんと高いようでしたから。
    当分はゆっくりして下さいね。

  10. こうちゃん361さん、いつもコメントありがとうございます!
    悪性リンパ腫を克服された先輩からのコメントにはいつも勇気づけられます。
    僕も後に続いて、この病気を克服、根治します!

  11. 失礼します。
    はじめてコメントさせていただきます。
    私は右膝に痛みを感じ、いろいろと病院を訪ねたところ
    2013年の年末に高山さんと同じくB細胞性のリンパ芽球性リンパ腫と診断され
    現在、入院し治療しています。
    現在4クールが終わったところで、骨髄移植をするかしないか検討する時期にいます。
    移植をするメリットとリスク、しないメリットとリスク。
    何度考えても、難しく、まだ決断にいたっておりません。
    セカンドオピニオンも考えているところです。
    もし、お時間がありましたら、お話を聞かせていただきたく
    コメントさせていただきました。
    どうぞよろしくお願いいたします。

  12. みきていさん、コメントありがとうございます。
    難しい問題ですよね。
    僕も主治医、担当医の先生とはかなり議論しました。
    その際に参考にしたのは下記の論文です。
    ChemoimmunotherapyWith a Modi?ed Hyper-CVAD
    and Rituximab Regimen Improves Outcome in De Novo
    Philadelphia Chromosome?Negative Precursor B-Lineage
    Acute Lymphoblastic Leukemia
    http://jco.ascopubs.org/content/28/24/3880.full.pdf
    アメリカで最大のがん専門病院、MD Anderson Cancer Centerの論文です。これによると、Hyper-CVADとリツキサンの治療と維持療法だけで、移植をしなくても、3年の寛解維持率が75%となっています(p. 3885、Modified Hyper-CVAD + Rituximab、Without Intensification、CD20 Positive、Age, years: 31-59の場合)。
    これを元に、主治医、担当医の先生はもちろん、部長の先生とも議論を重ねた結果、僕は移植をせずに、抗がん剤治療だけで治す方針を選択しました(実際は、腫瘍が仙骨部に限局していたため、抗がん剤治療での寛解後に放射線治療も行っています)。
    この論文の治療成績は、虎の門病院の先生方の感覚とは大分かけ離れていますが(先生方は抗がん剤治療だけでは3分の2は再発してしまうとの感覚)、先生方と議論の結果、この論文の方針でいく、つまり移植はしないことを決めました。また、虎の門病院入院中の治療(Hyper-CVAD/MA + リツキサン)に関しては、この論文のレジメンと基本的に同じものを受けていますが、退院後の維持療法に違いがあるため、その点はちょうど現在、外来診察の際に主治医の先生と議論しているところです。
    基本的には、移植をせずに治る可能性が十分にあるのなら、そこに賭けたい、という考えです。
    難しい問題ですが、ご参考になれば幸いです。

  13. 初めまして、突然失礼いたします。
    長い間の抗がん剤治療本当にお疲れ様でした。
    自分の妻が2013年6月からT細胞性リンパ芽球性リンパ腫と診断を受け治療を開始いたしました。
    T細胞性ですのでHyper-CVAD/MA療法にて治療を行ってきました。
    同じく8クール予定でしたがSEにより7クールにて治療が中断し3月末に退院。
    本日PET検査結果にてガン細胞は見つからず、今後の2年間の維持療法の予定を決めていく予定でした。
    ところが4月から担当主治医が本院に移動し別のDrに担当が変わりました。
    今までのDrは維持療法を行う事で、高山様が記述されているように予後が良好との治療方針で予定を組んでいました。
    今回主治医が変わった事により、維持療法は必要なし、しばらくは外来にて検査のみを行う、との診断を受けました。
    現主治医は虎の門HPのようにQOLを考慮して維持療法はしないと判断したと推測していますが、正直治療方針ががらりと変化したことに納得はいきません。
    MD Anderson Cancer Centerの論文のようにエビデンスは維持療法を行ったほうが生存率は高いと思われます。
    個人的にはセカンドオピニオンを行ってでも維持療法をさせてあげたいと考えています。
    ですが、Drの考えによっても治療方針は変わってくると感じます。
    なにが正しいのかは現時点では判断できませんが、現主治医も今までの結論から維持療法を行わないと判断したと思います。
    もしお時間がある時にご意見をいただければと思います。
    どうか、お大事になさってください。

  14. よーたさん、コメントありがとうございました。
    実際、リンパ芽球性リンパ腫の維持療法については、その有効性を明確に示すエビデンス、論文がなく、学会の方針も決まっていないため、主治医とよく話し合って決めるしかないのが現状だと思います。
    僕がブログで参照しましたMD Anderson Cancer Centerの論文も、維持療法の有無で患者をランダムに分けてその有効性を確認したわけではないため、この論文をもって、論文内の強化療法(6ヶ月後、18ヶ月後のHyper-CVAD療法とその翌月のMA療法)と維持療法(4種類の抗がん剤・ステロイド剤の服薬)が有効であるとは言い切れないんですよね。そして、前述のように、維持療法の有効性を直接的に示す論文は、探してもほぼ見当たりません。
    そして現場では、ブログでも書きましたように、実際には維持療法を行ってもその最中や直後に再発してしまうケースもあり、その有効性に疑問符がついているようです。
    維持療法については、私も入院中に担当医の先生といろいろ議論し、退院後は外来で主治医の先生と議論してきました。その結果、私はHyper-CVAD/MAの後に放射線治療を受けていることもあり、維持療法としてはMDACCのようにHyper-CVAD/MAの点滴までは行わず、抗がん剤・ステロイド剤の服薬のみにするという主治医の勧めに従おうと考えています。そしてこれは主治医、担当医だけでなく、他の先生方も含めたカンファレンスで私の状況を考慮した上での結論とのことですので、ほぼ納得しています。
    ただ、100%納得したいので、外来診察の時に主治医の先生にお願いして、入院中に議論を繰り返した担当医の先生ともお話しする機会を作っていただきました。今日の午後です。
    主治医の先生からは、「セカンドオピニオンを聞きにがんセンターに行きますか?」とも言っていただきましたが、お断りしました。何故なら、維持療法としてのこの4種類の抗がん剤・ステロイド剤の服薬は、MDACCで実施されているのみならず、日本のJALSG(日本成人白血病治療共同研究グループ)のガイドラインにも維持療法の標準として記されているため、他の病院に行っても同じ結論になるのは目に見えていることと、虎の門病院以上に経験と知識が豊富な病院もそうそうないと考えているためです(虎の門病院は東大病院とも関係が深いこともあります)。そういう意味では、私は虎の門病院の先生方を信頼しています。
    主治医の方針に納得がいかなければ、無理に時間を取ってもらってでも議論して納得した方が良さそうですね。嫌がる先生もいるかもしれませんが、命がかかってますからね。(幸い、僕の担当医、主治医の先生はもちろん、血液内科部長の谷口先生も、入院中、私の議論に時間を取って付き合ってくださいました)
    長くなりましたが、少しでも参考になる点がありましたら幸いです。

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