肺がんのため入院しました。5回目のがん闘病に向けて思うこと

突然ですが昨日より虎の門病院に入院しています。

今度は、肺がんです。

●経緯

4年前の大腸がん以来、半年ごとに受けているCT検査で2年ほど前に左肺に影が見つかり、経過観察をしてきました。その中で、右肺にも薄く小さい影が見つかりました。

そして今年2月の造影CT検査で、左右両方の影ともに少し大きく、少し濃くなっていることが確認されたため、これらの影は両方とも悪性のがんの可能性が高いと判断し、手術で切除することを決めました。

●早期の肺がんである「すりガラス状陰影」の状態

これまでより大きくなっていたとはいえ、まだ左右両方ともがんとしては小さく(右 7x6mm、左13x10mm)、また影の濃さも薄い「すりガラス状陰影」と呼ばれる早期の肺がんの状態です。

一般にすりガラス状陰影で大きさが1cm以下の場合は、即手術ではなく、経過観察となり、経過観察の中で増大傾向が確認された場合に、悪性のがんである可能性が高いということで手術等が検討されます。僕の場合もまさにこれに当てはまり、かなり早期の段階で手術を決断できたことになります。

またすりガラス状陰影はレントゲンでは見つけることが難しいとされています。レントゲンでは、もっと病気が進行した状態でなければ検査画像に写らないということです。僕は定期的に造影CT検査を受けていたことで早く見つけて治療に入ることができました。

ちなみにこのすりガラス状陰影(すりガラス状結節)は、特徴として、たばこを吸わない人や若い人、女性にも発生し、同時に複数の箇所に多発することも少なくないようです。僕もある程度当てはまります。

●これまでのがんの転移ではなく原発がん

これまでの検査に基づくと、今回の肺がんは、これまでの4回のがん、つまり脳腫瘍悪性リンパ腫白血病大腸がんの転移ではなく、左右ともに原発がんということです。また左肺から右肺に転移したわけでもなく、前述のように多発したということです。

現時点では転移がみられないということで、基本的には手術で切除したら、化学療法などはせずにそれで治療は終了となる見込みです。

ただ最終的には、手術で切除した組織の病理診断で、がん細胞の種類(組織型)やステージ(リンパ節転移や遠隔転移の有無等)が確定した段階で、原発がんであることや、術後の化学療法の有無なども確定することになります。

●一度の胸腔鏡下手術で左右両方の病変を切除

あさって4月8日(月)に手術を受ける予定です。昔のようにメスで胸を切り開く開胸手術ではなく、胸腔鏡下手術です。胸に直径1〜4cmほどの穴を3箇所開け、そこからカメラなどの器具を入れて病変を切除します。それを左右で行いますので、合計で6箇所に穴を開けることになります。このように一度の手術で左右両方とも切除します。リンパ節郭清も行います。

右肺は下葉に病変がありますが、まだ小さいためその病変部分を切除する部分切除になります。

左肺は上葉の舌区と呼ばれる部分に病変があり、その舌区ごと取り除くという区域切除になります。

今回手術していただく呼吸器外科部長の藤森先生の説明では、この手術を受けても、僕の呼吸機能は9割ほどは維持できるようです。リハビリも必要なく、日常生活でも特に息苦しいなどの不都合を感じることもないそうです。

●術後の退院までの見通し

術後は4~7日程度で退院できるようです。手術のときに肺に留置したドレーンの管が抜ければ退院となるようです。僕は左右の2本の管が抜けたら退院ですね。

仕事をしている患者さんの場合は、退院の翌日から仕事に復帰できるようです。

虎の門病院では肺がんにおいてはこのように低侵襲の、つまり患者の体への負担が少ない胸腔鏡下手術を得意としているようです。肺がんが見つかったら、できるだけ早く手術し、できるだけ早く社会復帰させてあげることに力を入れているようです。それが患者の希望でもありますからね。もちろん、肺がん自体の根治を目指すことは前提とした上で、です。

●予後、つまり長期的な見通し

前述のように、今回の肺がんは、早期の原発がんであるため、手術で病変部を切除してしまえば、その後の化学療法等は必要なさそうです。手術で根治が見込めそうということですね。

ただ前述の通り、最終的には術後の病理診断の結果で、化学療法が必要かどうかなども確定することになります。

病理診断の結果が出るまで3〜4週間ほどかかるため、その結果が出るころに外来診察で最終的な診断結果を聞くことになります。

5年生存率の見込みなどもその病理診断の結果次第となりますが、これまでの画像検査から見ると、現時点では、十分勝算を見込める、つまり治る見込みが高いと言えるかと思っています。

参考までに、国立がん研究センターがまとめている2010年の全国肺がん登録のデータによると、臨床病期がI(IA1〜IB)の5年生存率は、71.5〜91.6%となっています。少し古いデータですので、現在はもっと向上しているのではと推察されます。

●手術の進化を実感

4年前、2020年の大腸がんのときは、腹腔鏡下手術で、お腹に5箇所穴を開けて、病変部を挟んで直腸を2箇所切断し、病変部を取り出した上でまた腸をつなぎ直すということをしました。

当時、「開腹しなくてもそんな複雑なことができるんだ!」と当時驚いたことを覚えています。

今回の肺がんの胸腔鏡下手術も、片側3箇所の穴ですむことや、左右同時に手術できること、術後の回復の速さと入院期間の短さなど、驚くことがいろいろありました。

胸腔鏡下手術も腹腔鏡下手術も含め、手術のやり方も本当に日進月歩で進化していることを改めて実感しています。最前線の医師のみなさんの創意工夫と努力には本当に頭が下がります。

●5回目のがんにショック!ということもないのですが、でも…

そういったわけで、現在、虎の門病院の病室からこの記事を書いています。がんと言ってもさすがに5回目となると、もう慣れた、と言うとおかしいのですが、特にショックということもなく、手術に向けて粛々とものごとを進めています。

入院期間も短いですしね。正直なところ、これまで何度も入院している食道静脈瘤の内視鏡治療と気持ち的には大きく変わりません。

がんではありますが、現時点では十分に勝算が見込めそうであることも大きいです。改めて、検査でがんを早く見つけることの大切さを実感しています。

そういった意味で肺がん自体は淡々と受け入れているのですが、それよりも正直なところ、今後のことの方が心配ではあります。今後あと何回、がんを経験すればいいのでしょうか…。

そんな不安もあることはありますが、5回目ということは、これまで実際に4回も乗り越えて治してきたということでもあります。その実績があるということです。だからその経験を活かせば今後も乗り越えていけるはずです。

もっと言うと、これまでのがんのどこかの時点で死んでいたら、5回目のがんになることもないのです。がんを乗り越えて、治して、生きていくということは、また何らかの病気になるリスクを受け入れるということでもあるわけです。がんも含めて。

だから仮に肺がんの後にまた何かの病気になるとしても、また、これまで通り乗り越えていくのみです。肺がんと同様、早く見つけて早く治療して早く治していくのです。それが可能であることは、これまで4回も実証済みです。

と前向きになったところで、締めとさせていただきます。久しぶりのブログ更新がこんな告知となり、みなさまにご心配をおかけすることとなってしまい恐縮です。

2月、3月と、この肺がんの検査と、それとは別に1月に見つかった重度の貧血の検査を並行して受けており、それぞれの治療の見通しがつくまでブログには何も書けなかったという事情です。ご理解ください。(なお貧血の原因は未だ究明中です)

経過はまた時間を見てこのブログに書きたいと思います。更新情報はX(Twitter)FacebookThreadsでも流しますね。

P.S. これまでの4回のがんのことをまとめた2冊目の本の執筆中に、5回目のがんになってしまったということで、この5回目をどう執筆中の原稿に反映させるかは、改めて編集者のMさんと相談して詰めていく予定です。今回の入院にも、先日、Mさんから戻ってきている原稿を持ち込んでいます。時間と気持ちの余裕があったらチェックしたいと思っています。

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