2012年01月13日

脳腫瘍の放射線治療と抗がん剤治療の実際(経緯19)

7月20日(水)に主治医のTM先生から脳腫瘍(神経膠腫/グリオーマ)摘出手術と病理検査の結果を聞きました(摘出率は98%、グレードは3)。その際に説明を受けた術後の放射線治療と化学療法(抗がん剤治療)が、その数日後に始まることになりました。

放射線治療の治療内容や副作用については、20日(水)に放射線科のKM先生(女子医大を紹介してくれた僕の幼なじみT君のお兄さん)から説明を受けていました。

特に放射線治療の副作用のリスクについてはかなり丁寧に説明していただきました。短期的には、放射線照射部位の脱毛(僕の場合は髪の毛の脱毛。通常は数ヶ月経てば生えてくるが、永久脱毛の場合も)や皮膚の炎症、眼や耳の炎症や障害、吐き気、骨髄抑制(貧血、白血球減少)など。長期的には知能低下や脳の部分的機能低下、脳の壊死など。

ここには書き切れないほどたくさんの副作用の可能性があり、少し驚きました。ただ必ずしもその副作用が全て出るわけではなく、出るでないは個人差が非常に大きいとのこと。とはいえ、髪の毛は必ず抜けるでしょうとのことでした。でも頭の毛が全部抜けるわけではなく、放射線が強く当たっている部分(後頭部)は全て抜け、弱く当たっている部分はある程度抜け、というように部分的に抜けるとのこと。

自分としては、髪の毛が抜けるくらいはどうってことないと思っていましたが、将来的に脳の機能低下の恐れがあるのは怖いなあと感じました。

このKM先生からの説明の2日後、7月22日(金)に、放射線治療のセットアップがありました。僕の場合、6週間にわたって、月曜日から金曜日までの平日毎日、つまり計30回、放射線照射を行います(放射線量は合計60グレイ)。その放射線照射が毎回同じ角度で同じ脳の部位に当たるように、頭を固定する必要があります。その頭の位置決めのための固定具を作るのがセットアップです。

まず放射線照射装置(リニアック)のベッドに横になり、頭の位置や角度を合わせます。そして温めて柔らかくなった白い網状のプラスチック板を臨床検査技師さんが僕の顔に押し付けて、顔をくるむようにして両サイドの留め具をベッドの頭の下の部分に固定します。ちょっと顔が熱いです。そのまま待つこと数分。プラスチックが冷えて固まると完成です。

出来上がったのがこちら。
放射線治療の位置決めのマスク

プラスチック製の白いフェイスマスクのようなものです。若干スケキヨっぽいです(笑)。退院するときに記念にもらってきました(笑)。

顔の凹凸に忠実にフィットした形で、かつ1ミリの隙間もなく固定するため、少しでも頭の角度や位置が違うと、そもそもマスクの留め具がはまりません。そのため、これで頭を固定されると、頭の位置や角度は毎回ピッタリ同じになり、かつ微動だにできません。

最初のころは、締め付けられる感じで顔がきついのですが、それは頭の位置や角度が微妙にずれているためです。自分で動いて微調整すると、きつくない位置が見つかりますし、それが正しい位置です。数回経験して慣れてくると、すぐに合わせられるようになります。

このセットアップの3日後、7月25日(月)から、放射線照射が始まりました。毎日、順番が来ると病室に呼び出しがあり、別の病棟の放射線照射室に行きます。最初のうちは、僕は手術の影響で視野が狭まっていて歩くのが危なかったため、ヘルパーさんに付き添ってもらって一緒に行っていました。

放射線照射室の待合スペースでしばらく待ち、順番が来ると照射室に入ります。ベッドに横になり、例のスケキヨマスク(笑)を装着してもらいます。そして照射開始。

僕の場合は5方向から分けて放射線を照射します。腫瘍を摘出した部位の周囲1.5cmの範囲が照射のターゲットです。その範囲に手術で摘出されていないがん細胞が散っている可能性があるためです。そのがん細胞をやっつけるのが放射線治療の目的です。

そのターゲットに限局して照射するため、つまり脳の関係ない部位への放射線の悪影響をできるだけ小さくするため、強さを抑えた放射線を5方向から分けて照射します。1方向から強い放射線を当ててしまうと、そのターゲット部分以外にも強い放射線が当たってしまいますので。各方向からの放射線が重なったところにターゲット部位がぎりぎり含まれて、そこだけに必要な放射線量が当たるるように、照射の角度や形が3次元的に計算されているのです。

照射が始まると、機械(リニアック)が動いて、まず1方向目からの照射を数秒、また機械が動いて角度が変わり、次の方向からの照射が数秒、という感じで、5方向からの照射が終わると一回の照射は終了。ものの数分です。そして痛くも痒くもありません。本当にベッドに数分横になっているだけで終わります。結構あっけないものでした。

放射線治療と平行して、化学療法も始まりました。術後に残っているかもしれないがん細胞を、放射線と抗がん剤で一気に叩いてしまいましょう、ということです。両方並行して始めると、相乗効果が高いということでした。

最初の抗がん剤の点滴は、最初の放射線治療の日の午前中でした。僕が使う抗がん剤(ACNU/ニドラン)の副作用について、主治医のTM先生は、骨髄抑制があるけれど、自覚症状はほぼないでしょう、とのことでした。骨髄抑制も、血液検査で白血球の量が減っているのが分かるくらいで、自覚症状はないでしょう、と。

点滴は、まず吐き気止めから始まりました。これが15分くらいで終了。特に気分が悪い等はなし。そして抗がん剤(ACNU/ニドラン)です。これも何ごともなく30分ほどで終了。こちらも意外とあっけなかったです。

この最初の点滴のときは、点滴中に気持ち悪くなるんじゃないかとか、何かいやな症状が出るんじゃないかと少しドキドキしていました。でも基本的には「病は気から」と同じで、「放射線も抗がん剤も、自分は副作用なんか出ないと思っていれば何も出ないはず」と、勝手に思っていて、看護師さんたちにもそう話していました。

実際、点滴中もそうですが、点滴後も、特に気持ちが悪いとか吐き気がするとか食欲がなくなるとかいうこともありませんでした。点滴の直後も普通に食事は完食していました。ただ一点、点滴の2〜3日後に若干便秘気味になるということだけありました。これは今も同じで、外来で点滴を受けた後はそうなります。入院中に先生に聞いたら、これは抗がん剤の副作用ではなく、吐き気止めの影響でしょうとのことでした。点滴後の副作用的なものとしては、その程度のことしかありませんでした。

こうして術後の放射線治療と化学療法(抗がん剤点滴)が始まりました。

放射線治療は、7月25日(月)に始まって、9月2日(金)に終了。この間、平日は毎日、放射線照射室に通いました。とはいえ、一回の照射はものの数分ですので、大した負担ではありません(毎日いつ呼ばれるかを病室で待つのが負担なくらいです。笑)。

抗がん剤は、7月25日に一回目の点滴を打ち、その後退院直前の8月29日に二回目の点滴を打っただけです(退院後は2ヶ月に1回、外来で点滴を続けています)。

手術が終わってから退院するまでの間、僕の治療は、この放射線治療と化学療法だけでした。これまでに書いたとおり、両方とも辛いとか苦しいということは全くありません。全くです。手術から日が経つにつれ、身体の方もどんどん回復して元気になっていきます。頭痛が出る頻度も徐々に少なくなってきます。

この頃から、精神的にも肉体的にも余裕が出てきて、より一層入院生活が快適で楽しくなってきました(笑)。そしてその余裕のお陰で、術後の後遺症として残った視覚障害(視野障害。高次脳機能障害の一つ)のリハビリテーションの独自研究が、ベッドの上で進んでいくことになります。

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投稿者 かものはし : 2012年1月13日 10:51

はじめまして。かものはしと申します。
Twitterではフォローさせていただいております。
もしかしたら、私と同じ病院でしょうか?
私は放射線治療は受けたのですが、
抗がん剤はまだやっていません。
然るべきときが来たら、私もやるのかもしれない。
そう思って、読ませて頂きますね。

投稿者 オーシャンブリッジ高山 : 2012年1月13日 13:52

かものはしさん、コメントありがとうございます!

かものはしさんのブログはこれまで何度か拝見させていただいていました。ブログをお読みいただき、コメントもいただけてうれしいです。
Twitterもフォローさせていただきました。

病院は女子医大ですか?やはりPET検査は岐阜に行かれたようですね。

腫瘍はグレード2なんですね。グレード2の場合は病理の結果次第で術後の放射線治療や抗がん剤治療の有無等は変わるみたいですね。
神経膠腫(グリオーマ)に対する抗がん剤は現時点はテモダールかニドランかの二択になっているようです。ニドランについては書きましたようにあまり副作用の心配はないかと思います。

でも抗がん剤治療の必要がないのが一番ですよね。
お互い再発させないようにゆっくりやっていきましょう!

投稿者 かものはし : 2012年1月14日 10:48

コメントのご返信ありがとうございます。
私の主治医もTM先生なのでもしかしたら主治医も同じ?なのかもしれませんね!
そうそう、岐阜に行きました!(爆)
確か、女子医大が日本一手術数?が多いところなのだと後でわかりました。
(これは何分不確かな情報なので、詳しくはよくわかりませんけれども。)
行ける人だけだったのかもしれませんけど、毎朝回診があって、
それはそれで、まるで『白い巨塔』みたいだったな、と、今でも懐かしく思い出します。
(但し、土日はお休みなんですよね。それが何しろ面白かったです。)
以前も一時期入院していたことがあるので、そのときもそう思ったりもしましたね。

投稿者 かものはし : 2012年1月14日 10:53

すみません。大変おかしかったので、そのまま送信してしまいました。

で、そうですよね。本当に出来れば、再発して欲しくないと思います。
私、実は先日内定をいただいたものですから、
それを逃したくはないという思いだけでいっぱいです。

このままどうか新しい職場でも再発しませんように・・・!

投稿者 オーシャンブリッジ高山 : 2012年1月14日 13:33

女子医大で脳腫瘍であれば間違いなく同じYM先生とTM先生のチームですね(笑)女子医大はグリオーマの手術件数も多いんですが、治療成績(5年生存率)が他の病院とは格段に違うんですよね。(YM先生が女子医大のサイトでも書いていますね http://www.twmu.ac.jp/NIJ/glioma.html
ネット等で目にする病院ランキングでは手術件数や患者数が指標になりますが、数ではなく質、つまり治療成績の部分が、病院選びでは本当に重要だと思います。ただ、その治療成績は一般の目に触れる機会は少なく(YM先生は上記ページで書いてくれていますが)、医療関係者や研究者の間でだけ知られているのが実情ではないかと思います(私は幼なじみが大学病院で放射線腫瘍医をしているため教えてもらえましたが)。

そうした情報をこのブログを通じて少しでも多くの脳腫瘍患者さんやそのご家族に知っていただきたいというのが、このブログを書いている理由の一つでもあります。

回診は確かに平日はほぼ毎朝ありましたね。大体、TM先生が若い先生を連れていらっしゃいました。たまにTM先生がいらっしゃらなかったり、その上の教授もいらっしゃったり。確かに「白い巨塔」的ではありますね(笑)。白い巨塔の大名行列ほどは人数は多くありませんでしたが。
でも女子医大の場合は先生方が比較的話しやすいので、毎日お会いしているうちに仲良くなってきて、毎朝経過をお話するのが楽しみになってきました。

内定、おめでとうございます!ぜひ無理せず仕事されてくださいね。僕も再発だけは避けたいので、「病は気から」の通り、「自分は再発はしない!」と毎日言い聞かせつつ、免疫力を落とさない生活を心がけています(睡眠は十分に、寝る前に瞑想、規則正しい食事、常に深呼吸してリラックス等)。

お互いにがんばっていきましょうね!

投稿者 かものはし : 2012年1月17日 21:49

キャー!まず初めに、訂正させてください。
えっと、YM先生というイニシャルから、おそらく主治医はTM先生ではなく、
MT先生だったかと思われます。(汗)すみません。。
ただ、手術は覚醒下手術というものでしたけど、おそらくTM先生も手伝ってくださったかと思います。(苦笑)

で、昨日ですがMRIを撮りに行ってきたんですけど、
ピンボケかもしれないけれど、「気になる影がある」
と言われてしまい、また来月もMRIを撮りに行く羽目になってしまいました。
当然内定先にも言えないですし、こんなところで再発なんてしたくはないんだ!と思って、
いや、思い込んで、来月は気合十分で行けたら良いなぁと思っています。

念!念!念!!!

投稿者 オーシャンブリッジ高山 : 2012年1月18日 12:36

かものはしさん、
イニシャルトークがちょっと分かりにくくなってきたので、もうこの際名前を書いてしまうと(笑)、僕の主治医は村垣先生と丸山先生です。昨日、外来診察日だったので、お二人にお会いしてきましたよ。

MRIの結果は気になりますね・・・。
来月の検査では何もないことをお祈りしています!
念!

投稿者 かものはし : 2012年1月20日 20:51

あ、では私も。(笑)私の主治医は田中先生と言います。
私が入院していたときは田中先生担当の方が多かったですね。

さて、昨日の日経新聞夕刊にですが、脳腫瘍の特集がでかでかと載っていましたね。
女子医大の村垣先生のお名前もお見かけしたかと思います。

恥ずかしながら、おぼろげながらですが覚えているのは、
眼鏡をかけた人ということしか覚えておらず・・・。

もし、間違っていたら、申し訳ございません。

投稿者 オーシャンブリッジ高山 : 2012年1月23日 12:48

田中先生という方は存じ上げませんでした。
村垣先生は、確かにメガネをかけてますよ!(笑)

投稿者 こうちゃん361 : 2012年1月23日 22:08

私の病気の場合には手術も放射線も効きませんので、化学療法のみです。またステージも高かったので、副作用の強いものを選択されたようです。結果的には何もなく4年9ヶ月が過ぎましたので、副作用への恨み(笑)もありません。

幸いにして私の病気は白血病と並んで抗がん剤の効果の高いものにしたので、それが良かったのかも知れません。でも、もうあの副作用はごめんだと思っています。万が一転移や再発があったとしても、私は抗がん剤を拒否するつもりです。少しの延命確率を高める可能性(あくまで可能性があるだけで、必ず延命するとは限りません)のために、あの苦しみに耐えるのは辛すぎます。それよりは緩和ケアで残された日を人間らしく生きることを選ぶつもりです。

でもこれもサラリーマン人生のあがりが射程に入り、子供達もようやく大学を出て行こうという時期だからこその決断だと思います。高山さんやかものはしさんのような若い方には、前向きに免疫力を高めるべく力を注いで欲しいと思います。

正月明けからタイに行っており、一昨日帰りました。

投稿者 オーシャンブリッジ高山 : 2012年1月24日 12:31

こうちゃん361さん、

抗がん剤は副作用が出ると本当に大変なようですね。私も父や姉妹の抗がん剤治療を見ていたため、自分のときもどうなることかと思っていましたが、私の抗がん剤は副作用が少なく、その点では助かりました。

「万が一転移や再発があったとしても、私は抗がん剤を拒否するつもり」というのは、本当に重い判断ですね。将来もっと医学が進み、より侵襲や副作用の少ないがん治療が生まれてくれることを期待したいです。

投稿者 スーパーコピー時計 : 2013年9月30日 11:47

抗がん剤は副作用が出ると本当に大変なようですね。私も父や姉妹の抗がん剤治療を見ていたため、自分のときもどうなることかと思っていましたが、私の抗がん剤は副作用が少なく、その点では助かりました。

高山の著書

「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」書影・表紙画像\
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ
(幻冬舎 税込1,188円)

脳腫瘍、悪性リンパ腫(白血病)を乗り越えた闘病記。
病院選び、治療法選択、医師との信頼関係の構築、セカンドオピニオンなどの考え方も。

プロフィール

高山知朗(のりあき):1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校、早稲田大学 政治経済学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、Web関連ベンチャーを経て(株)オーシャンブリッジ設立、代表取締役社長就任。現在、同社ファウンダー。横浜市在住。

2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)の摘出手術。後遺症で視野の左下1/4を失う。2013年5月から悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ種/急性リンパ性白血病)の抗がん剤治療。合併症で帯状疱疹後神経痛も発症し、現在も激しい痛みと闘う。2016年10月に脳腫瘍、悪性リンパ腫の2つのがんから卒業。同年、幻冬舎より「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版。

2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病を発症、同年4月にさい帯血移植治療を受ける。現在は妻、娘とともに元気に暮らしている。

連絡先

メール: nori.tkym[at]gmail.com
([at]は@に読み替えてください)

※病気や病院に関する個別のご相談については、まず「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」をお読みの上、ご連絡いただけますようお願いします。いただくご質問に対する回答の多くが、すでにこの本に書かれております。ご理解お願いします。

※いただいたご連絡の全てにご返事できるとは限りませんのでご理解ください。

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