白血病・悪性リンパ腫の生存率に関する議論は続く/フィフティ・フィフティの人生:白血病・悪性リンパ腫闘病記(12)

前回の闘病記からの続きです。
2013年5月18日(土)。入院6日目。
この日も朝からデキサート(ステロイド剤)を点滴。30分ほどで終了しました。


この朝も担当医のMY先生が来てくださったので、前日に引き続き、治療方針についてお話ししました。自分としては、最初に国立がん研究センター中央病院でB細胞性リンパ芽球性リンパ腫(=急性リンパ性白血病)と診断された時に聞いた、「5年生存率は40%」という情報が非常にショックで、何とかもっと高い生存率が期待できるような情報を見つけたい、そしてその情報について担当の先生からもお墨付きをもらいたい、という一心でした。
そんな思いで、ネットで調べた以下の情報をMY先生にぶつけてみました。
▼悪性リンパ腫の診断と治療:[がん情報サービス]

進行のスピードが速いタイプを高悪性度、ゆっくりなものを低悪性度と分類しますが、強力な化学療法や造血幹細胞移植などの進歩した現在においては、高悪性度とされるリンパ芽球性リンパ腫やバーキットリンパ腫も根治が期待できます。

▼リンパ芽球性リンパ腫 – 知識の泉

増殖は速いが治療により治癒可能なリンパ腫である。最近では,40〜60%の長期生存が報告されている。

これらの情報に対しては、以下のような反応でした。

こうした情報は、以前は歯が立たなかったこのB細胞性リンパ芽球性リンパ腫も、治療方法が進歩してきたことにより、効果が出て治癒が期待できる患者さんが一定数期待できるようになってきたことを表しています。

最近もALL(急性リンパ性白血病)の治療成績はアップデートされています。長期生存率は4割から5割、あるいは5割前後になっている様子です。

ということで、やはり僕の病気の長期生存率は、先生の観点では、高く見ても5割前後とのことでした。最初に聞いた4割よりはいいですが、それでも生きられる可能性は結局半々、フィフティ・フィフティです。残念に思いました。
MY先生の話は続きました。

ただし、抗がん剤治療だけを行い、造血幹細胞移植をしなかった場合は、移植治療ができない高齢者に患者が偏るため、治療成績は下がります。

例えば20歳の若い患者さんの場合は、移植はせずに抗がん剤治療のHyper-CVAD/MA療法のみで乗り切ることもあります。若年の方が化学療法でがん細胞をやっつけてしまいやすいので。ただそれよりも高齢になると、抗がん剤治療中の感染症や臓器への負担等のため、そうもいかないこともあります。

つまり、僕のような年齢の患者の場合は、抗がん剤治療だけでなく、造血幹細胞移植をするのが一般的ということのようです。先生の話はさらに続きます。

高山さんの場合は腫瘍が限局しているので、抗がん剤治療の後に放射線治療を行う可能性もあります。

移植については、一般的にはCR1(最初の寛解、つまり治療によりがん細胞が見つからなくなった状態)の間に移植をすべきだと言われていますが、高山さんの病気の場合、CR1で移植をすべきかどうかについて、まだ学会でも結論が出ていません。

いずれにせよ今後の抗がん剤治療の効果を見てから、どのタイミングで移植をするのかを含めて、その後の治療方針を考えていきましょう。虎の門病院は移植を多数やっているので、移植のタイミングを間違うことはないと思います。

ということで、何となく僕も移植をすることが前提になっているような印象を受けました。ただこの点はその後も先生と議論を繰り返すことになります。
MY先生は、昨日僕がお見せしたMD Anderson Cancer CenterのThomas医師のデータ以外にも、分かりやすい情報があれば持ってきましょうと言ってくださいました。
MY先生は、このように僕が素人ながらにいろいろと調べて出てきた質問に対しても、全く嫌がらずに、真摯に話を聞いて答えてくださって、本当に安心できました。ただ、医師ですから、単に患者を安心させるせるためだけに、無責任に甘いことを言うようなことは絶対にありません。治療成績についても、それが患者にとって厳しい情報であっても、常に明確なエビデンス(データ)に則った話しかしません。でもそこが逆に信頼できました。
また、この日は虎の門病院への入院後初の土曜日ということもあってか、たくさんの方がお見舞いに来てくださいました。
お見舞いの方がいらっしゃるたびに、病気の概要や入院の経緯などをその都度説明していたので、ちょっと疲れたのですが、でも親しい友人やお世話になった方たちと過ごす時間は楽しかったです。
しかしその後、抗がん剤治療が始まると、副作用で体調は悪化し、お見舞いに来てもらえるような体調の日は次第に減っていくことになります。

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