株式会社オーシャンブリッジ ファウンダー
高山 知朗 (たかやま のりあき)
2018年08月08日
家族3人で海外に旅行に行ってきました。
本来はこの旅行には昨年行くはずでした。二回のがんから卒業し、自分が創業した会社からも卒業して、ようやく本当の意味で家族と自分のために生きていけるようになったのが、昨年1月。
それまでの2度のがんで本当に辛い思いや寂しい思いをさせてしまった家族と、今度は楽しい思い出を作ろうと、夏休みの海外旅行を約束していました。
しかしその翌月の2月に突然、3度目のがんとなる急性骨髄性白血病が見つかり、その計画はキャンセルとなってしまいました。まさか3度目があるとは思いませんでした。しかも全てから自由になったこのタイミングで。大変なショック、大変な悔しさ、大変な悲しさでした。
その後、これまでで一番辛い治療となったさい帯血移植を経験しました。退院後、なかなか体力は回復しませんでしたが、それでも今年の目標のひとつに、海外旅行を挙げました。そのために、体力も気力も回復しようと努めてきました。
そしてついに先日、その目標を達成し、家族との約束を果たすことができました。
3人で南の島に行ってきました。
お陰さまで旅行中も特に体調に問題はなく、現地の病院のお世話になるようなこともありませんでした。
ただ相変わらず疲れやすいので、以前のように朝から晩まで予定を入れるようなことはせず、のんびり、休み休みのバカンスとなりました。
とはいえ、シュノーケリングで海に入って魚も見ましたし、ヨットでのセーリングで海風にも吹かれましたし、分厚いステーキも食べました。十二分に旅を満喫しました。
でも、何よりも楽しかったのは、妻と娘が本当にうれしそうに、楽しそうに、幸せそうに過ごしていたことです。
これまでの闘病で、何度も泣かせてしまった家族の幸せそうな姿を見ることができたのが、自分にとっては一番幸せなことでした。
移植をする前は、また移植をした後も、まさか移植の1年後(正確には1年3ヶ月後)に海外旅行に出られるまで回復するとは思いませんでした。
以前、「移植してから自由に外出できるようになるまでには3年かかった」という患者さんの言葉を聞いたことがあります。また「移植をすると以前の自分とは変わってしまいます」という話も聞きました。
実際、僕もいまだに以前のような体力はありません。だいぶ歩けるようになったとはいえ、いまだに走ることはできません。走ろうとしても脚の筋力がなく、膝が折れてしまいます。
歩けるとはいえ、左足全体の痺れ、両足裏のしびれから、段差や階段等でふらつくこともしばしばです。
視野左下4分の1の視覚障害も相変わらずです。旅行中も、空港や街中などを歩いているときに、人や障害物にぶつかってしまいました。
さらに、帰国後、やはり疲れが出たのか、39.6度の高熱と嘔吐、下痢の症状で、急遽、予約外で虎の門病院を受診することになってしまいました。検査の結果としては普通の風邪とのことで安心しました。しかしこれを書いている今も微熱が続いています。
でも。
元の自分ではなくても、普通に生活できています。
元の自分ではなくても、海外旅行に行くこともできます。
だから、元の自分に戻る必要なんてないんですよね。
焦る必要も、無理する必要もなく、ゆっくり生きていけばいい。
そして目の前にある幸せを見過ごさずに、ありがたく噛み締めていけばいい。
そんなことに改めて気づいた、いい旅行でした。
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【投稿者】nori 【コメント】コメント (0)
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ(幻冬舎 税込1,188円)
脳腫瘍、悪性リンパ腫(白血病)を乗り越えた闘病記。
病院選び、治療法選択、医師との信頼関係の構築、セカンドオピニオンなどの考え方も。
高山知朗(のりあき):
1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校、早稲田大学 政治経済学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、Web関連ベンチャーを経て(株)オーシャンブリッジ設立、代表取締役社長就任。現在、同社ファウンダー。横浜市在住。
2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)の摘出手術。後遺症で視野の左下1/4を失う。
2013年5月から悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ種/急性リンパ性白血病)の抗がん剤治療。合併症で帯状疱疹後神経痛も発症し、現在も激しい痛みと闘う。
2016年年9月、幻冬舎より「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版。
2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病を発症、同年4月にさい帯血移植治療を受ける。
2020年3月、4度目のがんである大腸がんの腹腔鏡下手術を受ける。
現在は妻、娘とともに元気に暮らしている。
メール: nori.tkym[at]gmail.com
([at]は@に読み替えてください)
※病気や治療に関するご相談はメールでもSNSでも一切お受けしておりません。仮に質問などをお送りいただいてもご返事できかねます。私もあくまで一患者であり医療関係者ではありませんのでその点ご理解ください。
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