2018年10月01日

若者の血を輸血すると若返るのなら、さい帯血移植患者は赤ちゃん返りするのか?

先日、ネットでこんな記事を読みました。


「若者の血」を輸血して若返るためのクリニックがニューヨークに開設予定

by Amornthep Srina人間は古来から若返りや不老不死に強く執着しており、そのための方法の一つとして「若者の血を飲む」といったものも存在し、実際に「若い血を体内に取り入れると自然治癒


最初にこの記事を見たときは、

「若者の血を輸血すると若返るのであれば、生まれたばかりの赤ちゃんのさい帯血を移植して、全身の血がそのさい帯血が作った血に置き換わっている僕らさい帯血移植患者は、ものすごい勢いで若返っているはず」

と思いました。もちろん僕はまるで若返っている実感はありません。

記事には、

若い血液を注入された被験者は、集中力・記憶力といった分野で能力の向上が見られ、より質のいい睡眠が取れるようになったとのこと。

とありますが、まるでそんな実感はありません。特に記憶力に関しては、逆に衰えを隠せず、妻に頼まれたことをすぐに忘れる、妻に「その話、前にも聞いたよ」と言われるなど、若返りとは逆の証拠ならいくつも思いつきます(涙)

先日の爪を切り忘れた話も含め、これまでの3回のがん治療の後遺症や副作用などのせいにしたいところですが、以前、先生に「最近物忘れが多くて。脳腫瘍の術後の放射線の後遺症でしょうか?」と聞いたら、「高山君、それ、後遺症じゃなくて、ただの老化現象だから」と一刀両断されてしまいました(涙)

ちなみに骨髄移植やさい帯血移植といった造血幹細胞移植をすると、全身の骨髄内の造血幹細胞(血液を作るもと)がドナーのものに全て置き換わります。よって全身を巡る血液も、そのドナー細胞が作ったものに置き換わります。

中でもさい帯血移植の場合、赤ちゃんが生まれたときのへその緒に含まれる造血幹細胞を採取し、白血病などの患者に移植します。

だから僕の身体の中を巡っている血液は、移植当時(昨年4月)に1歳だった女の子の血です。そして血液型も、自分の両親から受け継いだB型から、そのドナーの女の子のA型に変わりました。

だから、この記事が本当なら、若者どころか生まれたばかりの赤ちゃんの造血幹細胞を移植して、血液型まで変わっている僕らさい帯血移植患者は、ものすごい勢いで若返っているはずなのに…と思ったのですが。

でも記事をよく読むと、輸血するのは骨髄が生み出す血球(赤血球、白血球、血小板)ではなく、血液から血球を取り除いた血漿のようです。だから造血幹細胞移植患者とは関係のない話だと認識したのですが、そうだとすると今度は、なぜ血球ではなく血漿に若返りの効果があるのか、ということが疑問になります。

そのあたりは先行研究もいくつかあるようです(下記)。ただ「若者の血を輸血すると若返る」という点に関しては、少なくともマウスではなく人間を対象にした臨床試験においては、まだプラセボ群を置いたランダム化比較試験も行われていないようなので、今後の研究結果を待て、というところでしょうか。


若い血の中のたんぱく質には老化した細胞を復活させる力があることが判明

By Mike Alegado「ドラキュラ」やジョジョの奇妙な冒険シリーズに出てくるDIOのように「若い血を得て自らの肉体を再生させる」という力を持つ架空のキャラクターが存在しますが、マウスを使



若い血を取り入れると自然治癒力が上がることが確認される

by Evan Long「若い血が年老いたマウスの体を若返らせる」という研究が2014年に発表されました。この研究では「若い血の中のタンパク質に老化した細胞を復活させる力がある」ということでした



ちなみにこの治療、8000ドル(約90万円)もかかるそうです。時の流れに逆らって老化に抵抗するにはお金がかかりますね。

自分は時間に逆らうのではなく、人生の大きな流れに乗って、ゆったりと日々を過ごしていきたいと思います。そんなことを思った、47歳(血液年齢2歳)の秋。

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高山の著書

「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」書影・表紙画像\
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ
(幻冬舎 税込1,188円)

脳腫瘍、悪性リンパ腫(白血病)を乗り越えた闘病記。
病院選び、治療法選択、医師との信頼関係の構築、セカンドオピニオンなどの考え方も。

プロフィール

高山知朗(のりあき):

1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校、早稲田大学 政治経済学部卒業。

アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、Web関連ベンチャーを経て(株)オーシャンブリッジ設立、代表取締役社長就任。現在、同社ファウンダー。横浜市在住。

2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)の摘出手術。後遺症で視野の左下1/4を失う

2013年5月から悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ種/急性リンパ性白血病)の抗がん剤治療。合併症で帯状疱疹後神経痛も発症し、現在も激しい痛みと闘う。

2016年年9月、幻冬舎より「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版。

2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病を発症、同年4月にさい帯血移植治療を受ける。

2020年3月、4度目のがんである大腸がんの腹腔鏡下手術を受ける。

現在は妻、娘とともに元気に暮らしている。

連絡先

メール: nori.tkym[at]gmail.com
([at]は@に読み替えてください)

※病気や病院に関する個別のご相談については、まず「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」をお読みの上、ご連絡いただけますようお願いします。いただくご質問に対する回答の多くが、すでにこの本に書かれております。ご理解お願いします。

※いただいたご連絡の全てにご返事できるとは限りませんのでご理解ください。

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