「夕飯楽しみだね!」「おいしいね!」と心から思えるまで

我が家では、基本的に平日の夜は、家で家族揃って夕飯を食べています。
仕事から帰ってきた妻が、僕と娘がお風呂に入っている間に料理をしてくれます。
魚介のトマトソース煮、ほうれん草のソテー、豆腐のグラタン


妻は仕事から帰ってくると、その日の気分で選んだ音楽(ポップスかジャズかボサノバかクラシック)をかけて料理に取り掛かり、それまでに考えておいた三つの料理を作ってくれます。忙しい仕事の後に家に帰ってきて、好きな音楽を聞きながら料理をするのが、ストレス解消の時間にもなっているようです。
また、この「必ず三品」というのもポイントで、妻いわく、「二つ目まではすぐに思いつくけど、三品目を考え出すのが大変」。でもそれが頭の体操になるとも言っていました。
娘は妻の料理が大好きで、いつも夕方になると「お腹空いたー!今日の夕ごはんは何かなー?」とか「夕ごはんが楽しみー!」とか言っています。
そして夕飯を食べ始めると、「これおいしいね!」「ママのお料理はいつもおいしい!」と言って、お代わりをしてたくさん食べます。
そんな娘の言葉に、僕も「そうだね、今日はママは何を作ってくれるかな」とか、「うん、これは本当においしいね」とうなずきます。
でも実は、心から娘の言葉に共感できるようになったのは、つい最近のことです。最近までは、夕ごはんの時間を十分に楽しむことができませんでした。過去の闘病のためです。
昨年の急性骨髄性白血病によるおよそ8ヶ月ほどにわたる入院生活以降、体調面で、なかなか食事を楽しむ余裕がない状態が続いています。
昼間活動すると、夕方にはガソリンが切れてきて、疲労感、倦怠感が出てきます。場合によって発熱します。さらに、疲れや発熱があると、帯状疱疹後神経痛が強くなります。痛みは、精神面にも悪影響を及ぼします。
体調が悪いと、食事は十分に味わえませんし、楽しめません。娘の言葉には「そうだね、おいしいね」と相槌を打ちつつも、心ここに在らずのような状況が続いていました。
しかしようやく最近になって、夕方になっても以前ほどは疲労感や倦怠感を感じることがなくなってきました。
実際は、夕方に疲れが出ることもあるのですが、そうした時は短時間でも横になるようにしています。さらに、食事の前には早めに痛み止め(医療用麻薬のオキノーム)を飲むようにしています。
そうした生活上の工夫もあってか、ようやく、純粋に食事の時間を楽しむことができるようになってきました。自覚したのはここ1〜2ヶ月ほどでしょうか。
娘の「夕ごはん、楽しみだねー!」の言葉に、心から「うん、楽しみだね!」と応えられるようになりました。自分の心の中からも、自然と「今日の夕飯は何かな?楽しみだな」と思う気持ちが湧いてくるようになりました。
夕飯の時間には、娘の「これおいしいね!」に、本心から「うん、おいしい!」と応えられます。料理を食べながら、娘に冗談を言って笑わせる余裕も出てきました。
ようやく、食事を心から楽しめるようになってきたのです。
普段はどうしても、毎朝、測っている体重や体脂肪率、体温、血圧、心拍数などの数値を見て、「また体重が減ってる・・・」「この微熱はまた風邪ひいたかな・・・」などと、目に見える数値から、なかなか体力がついてこないと思ってしまいます。
でも実際は、夕食が楽しめるようになっています。これは、数値で見えないところで、体力がついてきて、体調も回復してきているということです。またそれに伴い、精神的にもより安定してきていると思います。
三度の闘病、特に二度目の悪性リンパ腫、そして三度目の急性骨髄性白血病の長期にわたる闘病は、今でも体のいろいろなところにその影響を残しています。病気になる前の体の状態にはなかなか近づけません。
それでも、改めて、家族と一緒に食事をおいしく食べられること、そしてその日あったことを三人で楽しく話して笑い合えることを、ありがたく思っています。
もちろん、仕事で忙しい中、おいしい料理を僕らのために作ってくれる妻にも感謝しています。そして、学校であったことなどの楽しいお話で団欒を盛り上げてくれる娘にも、感謝しています。
毎日の食事、そして家族との生活を楽しめることは、本当に幸せなことです。そこまで体が回復してきたことを、ありがたく思います。