2019年05月30日

脳は空白を嫌う、時間も空白を嫌う

「脳は空白を嫌う」と言います。

リッチブレンド

僕はこの「脳は空白を嫌う」について、かなり極端な実体験をしています。

それは、脳腫瘍を手術で摘出したことにより物理的に失われた脳の部位の機能を、その周囲の部位が補完する、という体験です。

具体的には、「手術によって失われた視野の映像を、脳が勝手に類推して補完することにより、見えていないのに見えているように認識してしまう」ということです。

詳しくはこちらの記事もご参照ください。

▼脳腫瘍摘出手術後の視覚障害の実際(視野障害・半側空間無視)|オーシャンブリッジ高山のブログ

一部引用します。

ただ、やっかいなことに、脳には「見えない部分を勝手に補完する」という機能があるため(錯視等で有名ですね)、見えていない左下の領域も、それ以外の見えている領域(左上や右下)の映像から類推して、勝手に背景映像を作り出してしまいます。脳が空白を嫌って勝手に映像を補完してしまうのです。

だから自分としては視野全体が見えていると勘違いしてしまうのですが、でも実際は左下には自分に見えていない人がいたりガードレールがあったりするので、ぶつかってしまいます。また手術直後には、視野の左下に、以前見た映像が残像として残るということもよくありました。これも空白を嫌って補完する脳の性質の一つかと思います。

もちろんこれは「脳は空白を嫌う」のかなり極端な例です。

もう少し一般的にな意味でも、最近これを実感しています。

僕は2017年にオーシャンブリッジの株式を売却し、代表取締役を退任し、会社経営からは事実上リタイヤしています。

▼オーシャンブリッジから卒業しました|オーシャンブリッジ高山のブログ


仕事を手放したことにより、暇で何もやることがない生活になったかというと、実際はそうでもありません。

毎日、ブログや本の原稿を書いたり、それらの読者さんからの相談に対応したり、友人知人が近所のカフェに会いに来てくれたり、集まりにお声がけいただいて出かけたり、定期的に病院に通院したり、患者会に参加したり、調子に乗って活動し過ぎた反動で疲労でダウンしたりと、まあ毎日、何かどうかやることがあって、1日1日があっという間に過ぎていきます。

仕事から離れてできた時間的な空白は、何かどうか埋まっていくんだなあと、最近、改めて実感しています。

人から声をかけていただいたり、わざわざ会いに来てくださったりするのは、本当にありがたいことです。ただ、いまだに体調が安定せず、予想外の体調悪化で予定を急に変更していただいたり、なかなか先の予定が決められなかったりすることもあるので、そこは申し訳なく思っています。

以前、2回目のがん闘病(悪性リンパ腫)の後、何としても会社に戻りたいともがいていた時期がありました。

そうした時期を経て、最終的に経営から身を引こうと決断するまでには、「もし会社を手放すのであれば、その後は何をして生きていけばいいのだろう?」と自問して、深く悩んだこともありました。

そのころは、「会社を手放して空いた時間的な空白は、何かやることを見つけて埋めなくてはならない」、と勝手に思い込んでいたのです。周りの人からも、「高山さん、次はどんな会社をやるんですか?」とよく聞かれたこともあり「何か新しいことを始めなければならない」という強迫観念に囚われていました。

でも、あるとき妻から言われた「もし会社が手放せたら、その後は別に何もしなくてもいいじゃない」という言葉に、「何もしないという選択肢もあるのか!」と開眼しました。

それで、「空白は空白のままでいい、何もしなくてもいい」ということを受け入れることができました。

でも、それから2年以上経ち、改めて今の自分の毎日を見つめ直してみると、結局、空白だったはずの時間は何かどうかで埋まっていきます。

「あー、今日も暇だった」と思う日は1日もありません。

人に会うことはもちろん、ブログや本を書いて発信することも、人とつながることです。

日々、そういうつながりを感じながら生活していけるのは、本当にありがたいことです。みなさんに感謝しながら、毎日暮らしています。

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高山の著書

「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」書影・表紙画像\
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ
(幻冬舎 税込1,188円)

脳腫瘍、悪性リンパ腫(白血病)を乗り越えた闘病記。
病院選び、治療法選択、医師との信頼関係の構築、セカンドオピニオンなどの考え方も。

プロフィール

高山知朗(のりあき):1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校、早稲田大学 政治経済学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、Web関連ベンチャーを経て(株)オーシャンブリッジ設立、代表取締役社長就任。現在、同社ファウンダー。横浜市在住。

2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)の摘出手術。後遺症で視野の左下1/4を失う。2013年5月から悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ種/急性リンパ性白血病)の抗がん剤治療。合併症で帯状疱疹後神経痛も発症し、現在も激しい痛みと闘う。2016年10月に脳腫瘍、悪性リンパ腫の2つのがんから卒業。同年、幻冬舎より「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版。

2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病を発症、同年4月にさい帯血移植治療を受ける。現在は妻、娘とともに元気に暮らしている。

連絡先

メール: nori.tkym[at]gmail.com
([at]は@に読み替えてください)

※病気や病院に関する個別のご相談については、まず「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」をお読みの上、ご連絡いただけますようお願いします。いただくご質問に対する回答の多くが、すでにこの本に書かれております。ご理解お願いします。

※いただいたご連絡の全てにご返事できるとは限りませんのでご理解ください。

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