2012年07月10日

病気からの「完全復活」とは?/無理と無茶の間

最近人に会うと「高山さん、もう完全復活ですか?」と聞かれることがあります。これはなかなかお答えしにくい質問です。

また「完全復活したら飲みましょうね!連絡くださいね!」と言われることも多かったのですが、これまたご連絡しにくいのです。

大きな手術をしたり、長期間入院したりすると、身体にはいろいろなダメージが残ります。僕の場合は、長期入院(2ヶ月)からくる体力の低下や、脳の手術からくる易疲労性(頭や身体が疲れやすくなる)、また手術の合併症(後遺症)である視覚障害(視野の左下が見えにくい)もあります。人によっては抗がん剤治療や放射線治療の副作用が出る場合もあります(幸いなことに僕は全くと言っていいほど自覚できる副作用はなかったのですが)。

またがんという病気の性質上、「完治」と言ってもよい状況になるには、再発なく5年が経過する必要もあります。それまでの間は定期的に病院で検査や診察を受け続ける必要がありますし、その後も頻度が減るとはいえ定期検査は続きます。

治療については、退院後も2ヶ月に一度のペースで抗がん剤の点滴が続いています。でも、これはあと一回で終わりです。また僕は退院後は全く薬を飲んでいません。手術の直後にはけいれん止めの薬を飲んでいましたが、腕に薬疹(薬からくる発疹)が出たため、数日で止めてしまいました。だから点滴が終われば、もう治療的なことも終わりです。

そういう中で、昨年9月の退院後、少しずつ日常生活や社会生活に戻っています。今では毎日ほぼフルタイムで働いていますし、たまには飲み会にも参加します。そうした日常生活を通じて、少しずつ体力も回復していることを実感しています。夕方になっても以前ほどは疲れを感じなくなったり、長時間のミーティングの後も頭がクラクラしなくなったりしています。帰宅後にしばらく横になることも減り、夜9時頃に娘を寝かしつけている間に自分も寝てしまうということも少なくなりました。

視覚障害についても徐々に徐々に回復してきていて、以前と比べても、人ごみを歩いているときに人にぶつかることは減りました。

でも、こうした回復というのは本当に少しずつ、少しずつです。一日一日の変化は本当に少しなので実感しにくいのですが、1ヶ月前、3ヶ月前、半年前を思い出すと、「ああ、回復してきたんだなあ」と実感できます。そのためにもこのブログにその時々のことを書いていることや、Evernoteでの日常の記録(ライフログ)、またExcel上での視覚障害リハビリの記録が大変役に立ちます。

こうした毎日の少しずつの回復の積み重ねが、どこまでいったら「完全復活」なのかというのが、よく分からないのです。病気が見つかる前のような仕事のペースや生活の仕方に戻ったら完全復活なのだとすれば、もうあんな過負荷な状態に戻すつもりはないので、完全復活はないということになります。現在のペースであれば仕事も日常生活も問題なく送れていますが、例えば忙しい海外出張に出る自信はまだありません。でも、一時間程度のセミナー講演ならそろそろできるのでは、という気持ちにはなっています。

視覚障害についても、日常生活や日々のリハビリを通じて、少しずつ回復はしていますが、依然として視野の左下は見えにくい(というか普段は見えない)ですし、あとどれくらいの月日が経てばどれくらい回復するのか、また最終的に手術前のレベルにまで回復する可能性があるのかは、全く分かりません。でも、人ごみを歩く時以外では、日常生活で不都合を感じることはほとんどありません。

主治医の丸山先生は、よく診察の際にこう言います。

無理と無茶の間を探してください。

これは、退院して日常生活に戻っていくなかで、「無理してがんばったら、ここまでは問題なくできた」という「無理」のレベルと、「ここまでやったら、無茶し過ぎで身体に影響が出た」という「無茶」のレベルの間を見極めていくことが大切、ということです。病気をしたからと言って、大事大事にし過ぎていては回復もしないし、かと言って無茶をしてもいけない、その間を探りながら生活していくことで、少しずつ社会復帰していきましょう、ということですね。先日書いた「風邪をひくと免疫力が鍛えられる」という話と似ています。

ということで、僕も日々、無理と無茶の間を探しながら生活しています。自分の健康のためにも、家族の幸せのためにも、また会社の成長のためにも、自分がどう生活しどう仕事をするのがベストなのか、最適なバランスを見極めていきたいと思っています。

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高山の著書

「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」書影・表紙画像\
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ
(幻冬舎 税込1,188円)

脳腫瘍、悪性リンパ腫(白血病)を乗り越えた闘病記。
病院選び、治療法選択、医師との信頼関係の構築、セカンドオピニオンなどの考え方も。

プロフィール

高山知朗(のりあき):

1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校、早稲田大学 政治経済学部卒業。

アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、Web関連ベンチャーを経て(株)オーシャンブリッジ設立、代表取締役社長就任。現在、同社ファウンダー。横浜市在住。

2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)の摘出手術。後遺症で視野の左下1/4を失う

2013年5月から悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ種/急性リンパ性白血病)の抗がん剤治療。合併症で帯状疱疹後神経痛も発症し、現在も激しい痛みと闘う。

2016年年9月、幻冬舎より「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版。

2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病を発症、同年4月にさい帯血移植治療を受ける。

2020年3月、4度目のがんである大腸がんの腹腔鏡下手術を受ける。

現在は妻、娘とともに元気に暮らしている。

連絡先

メール: nori.tkym[at]gmail.com
([at]は@に読み替えてください)

※病気や病院に関する個別のご相談については、まず「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」をお読みの上、ご連絡いただけますようお願いします。いただくご質問に対する回答の多くが、すでにこの本に書かれております。ご理解お願いします。

※いただいたご連絡の全てにご返事できるとは限りませんのでご理解ください。

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