2015年07月30日

「10分のセカンドオピニオン!? 『がんと闘うな』近藤誠医師の放置療法で被害者が続出?」という記事を読んで

先日、ネットでこちらの記事が話題になっていました。

▼10分のセカンドオピニオン!? 「がんと闘うな」近藤誠医師の放置療法で被害者が続出?|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見

これは、「抗がん剤は効かない」や、「がん放置療法のすすめなどで有名な近藤誠医師の主張を批判する記事です。

この記事に以下のようにあります。

「近藤誠医師は、がん医療の問題点を浮き彫りにしたことは評価できますが、すべてを否定してしまったために、かえって患者さんを惑わせ、現場によりいっそうの混乱をもたらしたことは、大きな問題である」

これは本当にそう思います。

近藤誠医師については以前、下記の記事を書きました。

▼近藤誠医師の「抗がん剤は効かない」「人間ドックは危険」等の極論に思うこと|オーシャンブリッジ高山のブログ

そこにも書きましたが、僕は近藤誠医師の主張には問題があると考えています。現在のがん治療を頭ごなしに否定するような「極論」を、自身の著書やマスメディアで広め、いたずらに患者の不安や医療不信を煽っているように感じるからです。

そして、僕自身は、近藤誠医師が否定する積極的ながん治療のお陰で、今も生きていられます。脳腫瘍については東京女子医科大学病院で、手術、放射線治療、抗がん剤治療を受けました。手術から丸4年が経ちましたが、再発の兆候は全くありません。5年再発しなければひと安心と言われています。あと1年です。

そして白血病・悪性リンパ腫については虎の門病院で、抗がん剤治療、放射線治療を受けました。こちらは寛解(画像診断で腫瘍が見つからない状態)となってから1年8ヶ月経ちましたが、やはり再発の兆候は全くありません。こちらは3年再発しなければひと安心と言われています。あと1年4ヶ月です。

脳腫瘍についても、白血病・悪性リンパ腫についても、近藤誠医師が主張する通りに「放置療法」を選択していたら、僕はとっくにこの世にはいないでしょう。ともに悪性度が高く、進行は速く、5年生存率は25%、40%と低いがんでしたので。

近藤誠医師が問題視する治療の副作用や後遺症は確かにありました。脳腫瘍の手術では左下4分の1の視野を失いました。白血病・悪性リンパ腫の抗がん剤治療では辛い副作用がありました。維持療法として抗がん剤を続けている今も副作用はあります。

でも、そうした副作用や後遺症については、医師からの事前の説明で納得済みです。それらを承知の上で、「少しでも長く生きられる治療をしてください」と医師にはお願いしました。

そして、「この辛い治療を乗り越えれば病気は治るんだ、また家族と暮らせるんだ」と信じたからこそ、がんばることができました。実際、自分ではほぼ治ったものと思っていますし、医学的にも再発の兆候はありません。

その背景には、医師との信頼関係があったと感じています。治療のメリット(期待される生存率)とデメリット(副作用や後遺症)についてきちんと医師から説明を受け、自分でも調べ、質問し、納得したからこそ、辛い治療を乗り越えられました。

冒頭の記事に以下のようにあります。

医療現場の慢性的な人手不足、3時間待ち3分医療の大病院、「聞きたいことが聞けるような雰囲気ではない」など医療への不信が深まるなか、医者中心のがん治療から患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)、インフォームドコンセント(充分な説明と合意)の充実が必要だという近藤医師の医療の転換を呼びかけは、多くの共感を呼び

僕自身は、脳腫瘍の治療でも、白血病・悪性リンパ腫の治療でも、こうした「医療不信」は一切感じたことがありません。逆に、医師に対しては「自分への説明のためにこんなに時間を使ってくださってありがたい」「素人の質問に親身になって答えてくださってありがたい」と思うことばかりでしたし、通院治療となった今でもそうです。そうした時間を通じて医師との信頼関係が構築され、治療への納得感が高まりました。その点では、病院にも医師にも恵まれていました。これに関しては以下のような記事も書きました。

▼医師と患者の間の情報格差を前提とした信頼関係の構築とそれに基づくコミュニケーション|オーシャンブリッジ高山のブログ

冒頭の記事には、以下のような記述もあります。

現在の近藤医師は患者の話をろくに聞かず、「放置せよ」という結論ありきのセカンドオピニオンを展開しているだけだという。
セカンドオピニオンは1時間かかることもあるが、近藤医師の場合は10分で終わったという。ショックを受けたこの女性は、逆に目が覚め、標準治療を受けることになったという。
放置療法を押し付けるだけの近藤氏のセカンドオピニオン外来は3万2000円/30分だというが、もはや、信じるか信じないかという宗教レベルになっているのかもしれない。

近藤誠医師の主張やそれに対する批判を含め、インターネットを含めたメディアには、がん治療に関するさまざまな情報があふれています。

その玉石混交の中から信頼に足る情報を取捨選択して、適切な病院や医師を選ぶこと、そして自分が選んだ医師と信頼関係を構築して、主体的に治療を選択していくことが、がん患者の側に求められているのだと思います。

そうした患者さんのお役に立てばと思いながら、いつもこのブログを書いています。

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高山の著書

「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」書影・表紙画像\
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ
(幻冬舎 税込1,188円)

脳腫瘍、悪性リンパ腫(白血病)を乗り越えた闘病記。
病院選び、治療法選択、医師との信頼関係の構築、セカンドオピニオンなどの考え方も。

プロフィール

高山知朗(のりあき):

1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校、早稲田大学 政治経済学部卒業。

アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、Web関連ベンチャーを経て(株)オーシャンブリッジ設立、代表取締役社長就任。現在、同社ファウンダー。横浜市在住。

2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)の摘出手術。後遺症で視野の左下1/4を失う

2013年5月から悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ種/急性リンパ性白血病)の抗がん剤治療。合併症で帯状疱疹後神経痛も発症し、現在も激しい痛みと闘う。

2016年年9月、幻冬舎より「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版。

2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病を発症、同年4月にさい帯血移植治療を受ける。

2020年3月、4度目のがんである大腸がんの腹腔鏡下手術を受ける。

現在は妻、娘とともに元気に暮らしている。

連絡先

メール: nori.tkym[at]gmail.com
([at]は@に読み替えてください)

※病気や治療に関するご相談はお受けしておりません。

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