2016年05月25日

帯状疱疹後神経痛は脳の神経回路の問題という研究結果で至る諦めの境地

一昨日、帯状疱疹後神経痛の定期診察でNTT東日本関東病院のペインクリニック科に行ってきました。前回の診察から8週間ぶりです。

池田山公園

残念ながら帯状疱疹後神経痛の激痛は相変わらずで、毎日痛みに悩まされています。痛みが強くなって我慢できなくなると痛み止めの麻薬のオキノームを飲むというのも相変わらずで、一日1〜3包飲んでいます。朝晩飲んでいるリリカだけではなかなか痛みはコントロールできません。

この状況は前回診察時と変わらないため、今回のK先生の診察でもそのように伝え、引き続きこれまでと同量のリリカを処方してもらいました。

それとは別に、今回、先生に聞いてみたい話がありました。

それは、先日見つけた下記の研究結果についてです。

▼末梢神経損傷によって未熟化した神経膠細胞(グリア細胞)が 難治性慢性疼痛を起こす脳内回路を作る − 難治性慢性疼痛の予防・治療に期待 − - 生理学研究所

事故などで外傷を負った後、怪我をした部位が治癒しても長期間にわたり痛みが持続するような場合があります。このような症状を難治性慢性疼痛と言いますが、なぜ傷ついた末梢組織が治癒した後も痛覚過敏が続くのか、この症状を引き起こす脳内メカニズムについては、これまで殆ど明らかにされていませんでした。

帯状疱疹後神経痛もまさに難治性慢性疼痛です。帯状疱疹の皮膚症状が治っても、痛みが長年にわたり残ってしまうのです。

共同研究グループは、大脳皮質にある皮膚の感覚情報処理を行う脳部位において、脳内の神経膠細胞(グリア細胞)※の一種であるアストロサイトが、末梢神経損傷の刺激を受けて未熟期の性質を再獲得することを、生きたマウスの脳内の神経回路を長期間観察する特殊な顕微鏡技術を用いて明らかにしました。

・・・ちょっと難しいですね。

これまでの研究では、主に脊髄などの痛覚を伝える経路の変化について明らかにされてきました。今回の研究ではこれまでの研究に加え、大脳皮質にある皮膚の感覚情報を処理する脳部位でも、感覚情報を処理する神経回路自体に再編成が起こり、末梢感覚刺激に対して過剰な反応をする仕組みが作られることが分かりました。

これはつまり、帯状疱疹後神経痛のような難治性慢性疼痛になると、痛みのある患部の末梢神経が傷つくだけではなく、脳の痛みや触覚などの感覚情報を処理する部位の神経回路自体が再編成されてしまって、痛みが長期間にわたって続いてしまう、ということです。

僕自身は、帯状疱疹後神経痛について、帯状疱疹のヘルペスウイルスにより皮膚だけではなくその奥の末梢神経も傷ついてしまい、皮膚症状が治ってもその末梢神経が傷害された状態(痛い状態)で固定化されてしまうため、痛みが残ってしまっている、ということだと理解していました。

しかしこの研究によると、脳の痛みを感じるところの神経回路自体が再編成されてしまって、痛みが残っているということなのです。患部だけではなく脳の問題、ということですね。

でも確かに自分の経験からしても、これは理解できます。僕の場合、いろいろな薬や治療を試しましたが、帯状疱疹後神経痛の痛みを抑える効果が最も明確に実感できたのは、医療用麻薬のオキノームです。そしてこのオキノーム(オピオイドの一種)は、まさに脳に作用しています。以前下記の記事に書きました。

▼帯状疱疹後神経痛の薬物療法(リリカ、パキシル、デパス、オキノーム等)/抗うつ剤の作用機序|オーシャンブリッジ高山のブログ

●オピオイド
オピオイドとは、強い鎮痛作用を示す医療用麻薬で、脊髄と脳に存在するオピオイド受容体に結合することで、脊髄から脳への痛みの伝達をブロックします。 がん治療による痛みのほか、他の薬剤を用いても痛みがおさまらない場合などに、使用が認められています。

前述のように、これまで僕は患部(背中の右側から脇の下)の抹消神経が傷ついた状態で固定化されているのが痛みの原因だと考えていました。そしてその末梢神経の傷害を治すべきだと考え、鍼灸治療や漢方なども試しました。それらの治療により免疫力と回復力を高め、固定化された末梢神経に刺激を加えることで、患部の末梢神経の傷害が治っていけばと期待していました。

でも、もし痛みが脳の問題なのであれば、そうした患部に対する東洋医学的治療にはあまり効果が期待できないのでは?と考えてしまいました。

これをK先生に聞いてみました。すると、

確かに帯状疱疹後神経痛では脳の問題もありますが、それだけではありません。例えば痛みがあると患部が固くなり、痛みが悪化することがあります。その患部のこわばりを緩めることは痛みの緩和にも効果があると考えられます。ただ、その手段として鍼灸がいいかどうかは、また別の問題ですが。

とのお答えでした。なるほど、やはり脳と患部と両方の問題ということですね。

帯状疱疹後神経痛については、現在はペインクリニック以外では、鍼灸治療をたまに受けています。帯状疱疹後神経痛そのものに対する直接的な効果はなかなか実感しにくいのが正直なところですが、がん治療からくる副作用や後遺症の軽減には役に立っていると実感しています。

この研究と診察の結果、帯状疱疹後神経痛については、治ることを期待するのはやめて、痛いときはオキノームをつかってやり過ごしていくしかない、と腹をくくりつつあります。

この夏で帯状疱疹後神経痛の発症から丸三年が経ちます。石の上にも三年といいますが、痛みとともに三年過ごして、諦めの境地に辿りつつあります・・・。

<関連記事>
▼帯状疱疹とは?/写真で見る帯状疱疹の経過(画像閲覧注意)|オーシャンブリッジ高山のブログ

※ 「神経膠細胞(グリア細胞)」に関して。僕の脳腫瘍のグリオーマは、まさに「グリア細胞から発生した腫瘍」という意味です。日本語では「神経膠腫」といいます。僕はなぜかグリア細胞に縁があるようで・・・。

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高山の著書

「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」書影・表紙画像\
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ
(幻冬舎 税込1,188円)

脳腫瘍、悪性リンパ腫(白血病)を乗り越えた闘病記。
病院選び、治療法選択、医師との信頼関係の構築、セカンドオピニオンなどの考え方も。

プロフィール

高山知朗(のりあき):

1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校、早稲田大学 政治経済学部卒業。

アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、Web関連ベンチャーを経て(株)オーシャンブリッジ設立、代表取締役社長就任。現在、同社ファウンダー。横浜市在住。

2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)の摘出手術。後遺症で視野の左下1/4を失う

2013年5月から悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ種/急性リンパ性白血病)の抗がん剤治療。合併症で帯状疱疹後神経痛も発症し、現在も激しい痛みと闘う。

2016年年9月、幻冬舎より「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版。

2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病を発症、同年4月にさい帯血移植治療を受ける。

2020年3月、4度目のがんである大腸がんの腹腔鏡下手術を受ける。

現在は妻、娘とともに元気に暮らしている。

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メール: nori.tkym[at]gmail.com
([at]は@に読み替えてください)

※病気や病院に関する個別のご相談については、まず「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」をお読みの上、ご連絡いただけますようお願いします。いただくご質問に対する回答の多くが、すでにこの本に書かれております。ご理解お願いします。

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