脳腫瘍の手術から8年、辛い記憶と当たり前の日常

8年前、2011年の7月4日に、僕は脳腫瘍の摘出手術を受けました。
脳腫瘍の中でも悪性の神経膠腫、グリオーマと呼ばれる腫瘍です。悪性度を示すグレードは、4段階のうちの悪い方から2番目の、グレード3でした。5年生存率の全国平均は当時25%でした。
脳腫瘍摘出手術後の脳のMRI画像
(脳腫瘍摘出手術後の脳のMRI画像。赤い丸の部分が腫瘍摘出の跡。クリックして拡大)


朝、8:50に手術室に入り、術後に手術室で麻酔から覚めて、ICUに移動し、妻と面会したのが19:40でした。約11時間経っていました。
右後頭部の後頭葉にあった腫瘍は、ほぼ全て摘出されました。
脳腫瘍摘出手術後の脳のMRI画像
(脳腫瘍摘出手術後の脳のMRI画像。赤い丸の部分が腫瘍摘出の跡。クリックして拡大)
この手術で命がつながりました。
手術当日のことは、今でもよく覚えています。
手術に呼ばれるのを待つ待合室のソファで、当時1歳の娘を抱いて写真を撮ったこと。
妻に抱かれた娘と、手術室の前の自動ドアを挟んでバイバイをして別れたときのこと。
手術が終わって、ICUで僕と面会した妻が、僕を見て「よかった、よかった」と涙を流して喜んでいたこと。
▼手術で脳腫瘍を摘出(経緯11)|オーシャンブリッジ高山のブログ
おとといの7月4日、手術からまる8年を無事に過ごすことができたということで、家族がケーキでお祝いをしてくれました。
脳腫瘍手術8周年記念のケーキ
さらに、娘は手作りの折り紙のしおりをプレゼントしてくれました。ハートと鶴です。
脳腫瘍手術8周年記念の娘からのプレゼントは、手作りのしおり。ハートと鶴。
僕が最近よく紙の本を読んでいる(Kindleではなく)ため、しおりを作ってくれたとのこと。早速使っています。
こういう機会には、手術当日のことが思い出されます。前述のような、当日起こったことです。
それは辛い記憶です。二度と経験したくないことばかりです。
でもこうした記憶が蘇ると、今の当たり前の日常が、どんなに貴重でかけがえのないことなのかを改めて実感します。
当たり前の日常がどれほど当たり前でなく、どれだけ幸せなことかを思い出させてくれます。
人間は忘れていく生き物です。あんなに辛かった経験も、時が経つにつれ、少しずつ鮮明さを失い、ぼやけたものになっていきます。
そして今の当たり前の生活を当たり前に過ごしていきます。そこにある幸せを見逃しながら。
でも、こうして手術8周年をお祝いしてもらうと、あのときの辛かった経験を思い出すとともに、その辛い経験を乗り越えたからこそ、今の当たり前の日常があることを再確認できます。
僕は大きな病気をたくさんしました。それぞれの治療では、乗り越えなければならない山場というかマイルストーンがあります。そのマイルストーンごとに記念日があります。
脳腫瘍の手術の記念日、悪性リンパ腫完全寛解の記念日急性骨髄性白血病さい帯血移植の記念日、移植後の生着記念日など。
病気にまつわる記念日がたくさんあると、それだけ、当たり前の日常のありがたさを再確認することができます。しあわせを感じとることができます。
当たり前のように過ぎていく日常は、決して当たり前ではなく、一瞬一瞬がかけがえのないものであること。
その当たり前の日常の中に、本当の幸せがあること。
治療の一つ一つの山場を乗り越えてきた証である、さまざまな記念日は、自分にとって、今の幸せを実感できる大切な機会となっています。
その記念日を、いつも共に祝ってくれる家族、幾多の山場を共に乗り越えてきた家族には、本当に感謝しています。
いつもありがとう。

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