2019年11月13日

かながわ血液がんフォーラムが予想以上に勉強になった話と浅野史郎さんの話

先日、横浜で開催された「かながわ血液がんフォーラム」に参加してきました。

かながわ血液がんフォーラム6

こうしたがんの啓発イベントに参加したのは実は初めてだったのですが、思った以上に勉強になり、充実した1日となりました。

イベント参加のきっかけ

今回、参加してみようと思ったきっかけの一つは、キャンサーネットジャパンさんから依頼された先日のインタビュー。


インタビューの際に、このイベントのことをお聞きして、地元横浜で開催されるということもあり、気になっていました。

そしてもう一つのきっかけは、同じ横浜に住む元宮城県知事の浅野史郎さん。浅野さんはこのフォーラムで、オープニングのパネルディスカッションに登壇されました。

浅野史郎さんの白血病のドキュメンタリーを見て

浅野さんはやはり白血病で骨髄移植を経験されています。

僕はNHKで放映された浅野さんの移植治療に関するドキュメンタリー番組を、過去に2度、見ていました。

1回目に見たのは、僕が急性リンパ性白血病(悪性リンパ腫)になり、治療方法に悩んだ結果、移植を避けて化学療法に賭ける判断をしたころ。

そして2回目に見たのは、急性骨髄性白血病になり、生きるために避けられなくなったさい帯血移植を受けたあと。

1回目にこの番組を見たときは、「移植治療というのはこんなに大変な治療なのか」という強いインパクトを受けました。正直なところ、「移植は怖い」という気持ちに拍車がかかりました。

退院後に、元々趣味だったジョギングではなく、ウォーキングで体力回復に努める浅野さんの姿。過酷な治療でやせてしまい、走るだけの筋力、体力がないということです。

そして、自宅のカーテンから洗面台から階段の手すりからドアノブまで、文字通り家中を掃除して徹底的に除菌する奥様の姿。

移植により免疫力が大幅に低下した浅野さんが、ウイルスや細菌、真菌などに感染しないようにするためです。

患者本人だけでなく、家族にもこれだけの苦労を強いる治療なのかと非常に驚きました。結果的に僕は移植しない道に賭けました。そして化学療法は奏功し、がんは寛解しました。

しかしその後、僕は3度目のがんで急性骨髄性白血病になり、生き延びるためには移植が避けられなくなってしまいます。そして浅野さんと同じように造血幹細胞移植(僕の場合はさい帯血移植)を受けることになります。

実際にさい帯血移植を受け、半年以上にわたる苦しい入院生活を終えて自宅に帰ってから、浅野さんのドキュメンタリーを改めて見ました。

2回目は、怖さではなく、共感を覚え、勇気をもらいました。地道にウォーキングをして体力を戻し、そして大学の教壇に立つまでに回復された姿を見て、「自分もあきらめずに体力回復に向けがんばっていこう」と思いました。

フォーラムで浅野さんにお会いするチャンスが

そんな経緯もあり、浅野さんには機会があれば一度ご挨拶し、番組を見て感銘を受けたことを伝えたいと思っていました。番組でも触れられていましたが、浅野さんは僕と同じ横浜在住です。いずれ機会があると思っていました。

そして今回のフォーラムが、まさにその機会かもしれないと思い、当日は浅野さんにお渡しできるよう僕の本「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ)も持参して会場に行きました。

浅野さんのお話に大変共感

パネルディスカッションでの浅野さんの話には、共感するところがたくさんありました。

「自分は治ると信じていた」という運命論の話。

「肺炎で死にかけたけれども、自分は死ぬなんて思っていなかった」という話(僕も全く同じ経験をしました)。

そして、「がんになって、得るものがたくさんあった。がんになってよかった」という話。

浅野さんが経験されたことや、その経験から考えたことなどをお聞きして、多くの共通点を見つけ、大変共感しました。

その浅野さんは、パネルディスカッション終了間際に、他の方よりも一足早く会場を後にされました。残念ながら、ご挨拶する機会はありませんでした。


でも、遅かれ早かれ、お話しできる機会は来ると思っています。そのときには、「番組を二回見て、恐怖と希望をもらいました」とお礼を言うつもりです。

さまざまな立場から見た移植医療の問題点

このパネルディスカッションでは、元患者の浅野さんをはじめ、いろいろな立場の方から移植医療についての話を聞くことができ、非常に勉強になりました。

二回も骨髄提供をされているドナーの方。
病院で血液がん患者やドナーさんと接している移植コーディネーターの方。
現場で移植治療を行なっている医師の方。
元NHKのジャーナリストの方。

移植医療に関わるほぼ全てと言っていい登場人物が揃い、それぞれの立場で移植医療の現状や課題をお話しされていました。

特に移植専門医の先生がお話しされていた新薬承認のドラッグラグの話。目の前の患者に奏功する新薬があるのに、保険収載されていないために使えないというやり切れなさ。患者の一人として、改善を強く望むところです。

自分の経験や考えを相対化する

普段、ブログを書いたり本を書いたりするときに、もちろん患者の立場で書いているわけですが、ときおり、これは自分だけの偏った考えではないか、こんな経験を書いても共感は得られないのではないか、と思案することがあります。

そうした自分の経験や考えを相対化してメタ認知する上で、様々な立場のみなさんの発言は大変参考になるものでした。

自分の病気の全体像を改めて概観する

パネルディスカッションの後は、急性白血病(AML /ALL)の講演を聞きに行きました。

講師は、虎の門病院の血液内科部長の内田先生です。

内田先生は僕の直接の担当ではありませんでしたが、入院中、夜中に急変したときなどには特にお世話になりました。今は虎の門13会でいつもお会いしてお話ししています。

内田先生はこの講演で、AML(急性骨髄性白血病)とALL(急性リンパ性白血病)について、病気や治療の全体像と、最新の新薬について説明してくれました。

僕はどちらの病気も経験しています。そして、その都度、病気については勉強し、医師とも話し合って治療を進めてきました。

でも、当然ですが、自分で調べるときも、医師に聞くときも、「自分の場合」の情報だけをフィルタリングして取り込んでいるんですよね。病気と治療に関する医師からの説明も当然、僕の場合の説明が中心になります。「高山さんの場合はこういう治療をして生存率は何パーセントです」ということです。

だから、こういうイベントの機会に、改めて病気の全体像を説明してもらうと、白血病全体の中での自分のケースの位置付けが理解できます。それにより、自分の知識の相対化ができて、非常に勉強になりました。

さらに、最近の新薬の情報もたくさんお聞きすることができました。医療は日進月歩とよく言われますが、内田先生の新薬の話は、まさにそれを実感させる内容でした。

最前線の医師から見たそれぞれの新薬に対する期待値の話は、患者としてはまさにここでしか聞けない情報です。

そして、そうした化学療法の進化により、

「移植自体が必要なくなるのが白血病治療の目標」

と内田先生はお話しされていました。

リスクの高い移植をしなくても、薬だけで治せるようになるのが究極の目標であるということですね。

今後の治療成績の向上に期待を持たせる、未来に繋がる講演で、非常によかったです。

ブログ・本の読者さんとの交流でモチベーションアップ

内田先生の講演が終わってから会場を出る際に、受付で、今回のイベントの主催のキャンサーネットジャパンの池田さんと少しだけお話ししました。13会で出会い、インタビューの機会を作ってくださった、元白血病患者、元看護師の方です。

池田さんと話していると、何人かの患者さんから「高山さんですよね?ブログいつも楽しみにしています!」とか「主人が高山さんのファンなんです!」とか「高山さん、本読みました!闘病の参考になりました!」とか声をかけていただきました。

改めてブログや本が思った以上に白血病悪性リンパ腫の患者さんたちに読まれているんだなと、再確認することができました。

こうして声をかけていただくのって、本当にうれしいんですよね。ブログを書いたり本を書いたりする作業は、壁打ちテニスというか、闇に向かって刀を振り回すというか、つまり孤独な作業で、あまり手応えがないんですよね。

だから、たまに、「こんなこと書いて誰かの役に立つんだろうか?」と自問することも少なくありません。

でもこうして実際に読者の方がいて、楽しみにしてくれていたり、役立ててくれていたりすることが分かると、俄然やる気が出てきます。モチベーションが上がります。

その点でも、参加してよかったなと思えるイベントでした。

このイベントを企画・運営されたスタッフのみなさん(特に池田さん、古賀さん)、すばらしい機会をありがとうございました。会場での運営もスムーズで、さすがだと思いました。

重ねてありがとうございました!

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高山の著書

「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」書影・表紙画像\
治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ
(幻冬舎 税込1,188円)

脳腫瘍、悪性リンパ腫(白血病)を乗り越えた闘病記。
病院選び、治療法選択、医師との信頼関係の構築、セカンドオピニオンなどの考え方も。

プロフィール

高山知朗(のりあき):1971年長野県伊那市生まれ。伊那北高校、早稲田大学 政治経済学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、Web関連ベンチャーを経て(株)オーシャンブリッジ設立、代表取締役社長就任。現在、同社ファウンダー。横浜市在住。

2011年7月に脳腫瘍(グリオーマ)の摘出手術。後遺症で視野の左下1/4を失う。2013年5月から悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ種/急性リンパ性白血病)の抗がん剤治療。合併症で帯状疱疹後神経痛も発症し、現在も激しい痛みと闘う。2016年10月に脳腫瘍、悪性リンパ腫の2つのがんから卒業。同年、幻冬舎より「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」を出版。

2017年2月、3度目のがんである急性骨髄性白血病を発症、同年4月にさい帯血移植治療を受ける。現在は妻、娘とともに元気に暮らしている。

連絡先

メール: nori.tkym[at]gmail.com
([at]は@に読み替えてください)

※病気や病院に関する個別のご相談については、まず「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」をお読みの上、ご連絡いただけますようお願いします。いただくご質問に対する回答の多くが、すでにこの本に書かれております。ご理解お願いします。

※いただいたご連絡の全てにご返事できるとは限りませんのでご理解ください。

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