脳腫瘍摘出手術後の海外出張で気をつけるべきこと/MRI検査の結果

今週、3ヶ月に一度のMRI検査と、毎月の診察のため、東京女子医大病院に行ってきました。
気になるMRI検査の結果は、お陰様で問題ありませんでした。先日のブログ記事「体調面で気になることをSNSでつぶやくと、主治医の先生がコメントをくださる時代」で書いたように、最近ちょっと視野がおかしくなったりしたこともあり、いつも以上に検査結果が気になっていたのですが、脳神経外科のTM先生も、放射線腫瘍科のKM先生も、ともに問題なしと言ってくださって、本当に安心しました。


今回の診察では、MRI検査の結果に加えて、急遽持ち上がった海外出張についても先生方に相談してきました。海外出張については、これまでは焦らないで来年以降に少しずつ再開すればいいかな、と思っていたんですが、ここ最近取り組んでいる新規事業の関係で、急遽、ヨーロッパ出張に行く必要性が出てきました。
自分としては、先日の宮崎旅行で手術後初めて飛行機に乗った際に全く問題なかったため、今回の海外出張についても先生方には「大丈夫でしょう」と言われて何事も無く送り出されると思っていました。でも、先生方の反応は違いました。
脳腫瘍摘出手術後の海外出張で最も気をつけなければいけないのは、てんかん発作のリスクです。実際、僕も昨年夏のヨーロッパ出張中に、乗り継ぎ地(チューリッヒ)の空港で、てんかん発作を起こして全身がけいれんし、意識を失って倒れました。それが脳腫瘍が見つかるきっかけになりました。あのときは、救急医が止めるのを押し切って、無理やり帰国便に乗って帰国しましたが、それは娘の入院という運命的な要因があったためです。そうでなければ、スイスの病院に運ばれ、検査され、脳腫瘍が見つかり、そのまま入院して治療となっていた可能性があります。そうなると、世界的にもグリオーマの治療成績が優れた東京女子医大での治療が受けられず、治らなかった可能性があります。
脳の手術をすると、こうしたてんかん発作のリスクが高まります。そこに睡眠不足や疲労、飲酒が加わると、さらにそのリスクは高まります。海外出張は、長時間の移動や時差の関係などで、睡眠不足や疲労が重なりやすくなります。また飛行機搭乗中の気圧の変化も、脳に影響を及ぼす場合があります。そのため、先生方も簡単に「大丈夫」とは言ってくれません。いかにてんかん発作のリスクを抑えて、無事に行って帰ってくるかが非常に重要になります。
先生方によると、本当は日本から非常に遠いヨーロッパにいきなり行くのではなく、もう少し近場のアジア等への出張で慣らし、その次にアメリカ西海岸やハワイなど、そしてその次にようやくヨーロッパ、というように少しずつ渡航先を伸ばした方がよかった、とのこと。でも旅行ではなく出張ですから、なかなか都合よく渡航先を選ぶわけにはいきません。
今回は仕事上の要請で、ヨーロッパ出張に行く必要がありますので、その前提で、先生方に注意すべき点を教えていただきました。

・出張中、あまり予定を詰め込み過ぎず、余裕を持った日程で。(疲れ過ぎないように)
・できるだけ日程を短期間にし、移動も最小限に。(移動だけでも疲れるため、渡航地を絞る)
・できれば身近な人を付き添いで連れて行く。(移動中もホテルでも、何かあった時に迅速な対応が可能になるため)
・できればフライトはエコノミーではなくビジネスクラスで。(睡眠の取れ方、疲れ方が全然違うため)
・フライト中はアルコールは飲まない。(飲酒はてんかん発作のリスクを高めるため。気圧の変化とのダブルパンチになる)

本当は、せっかくヨーロッパに行くのであれば、各国の取引先企業を回ってこようと思っていたのですが、それは諦めました。主治医のYM先生のアドバイスに基づき、最低限、今回行かなければいけない都市に絞って行くことにしました。先生には、「まず退院後初めての海外出張ですし、欲張らないで一カ国にしましょう。いろいろ回るのはまた次回以降にしましょう」と言われました。
もう一人の主治医のTM先生には、「とにかく出張中に発作を起こして倒れたら大変なことになるので、注意事項は守りましょうね。そうしないと、あとで本当に後悔しますよ」と釘を刺されました。そして注意事項を守る前提で、さらに安全のために、今回初めてけいれん止めの薬を処方していただきました。飛行機に乗る日の前の日に飲めばよいとのこと。
そこまでして今、わざわざ海外出張に行く必要があるのか、と考えてしまう面も、実のところはあります。でも今回、いろいろと不思議な巡り合わせの結果、この出張の話が持ち上がってきました。このチャンスを活かせるかどうかが、今後のオーシャンブリッジの発展において、重要なターニングポイントになる可能性があると思っています。
もちろん自分の健康が第一ですが、無理のない範囲でこのチャンスをしっかり活かして、次のオーシャンブリッジを形作っていきたいと思っています。

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「脳腫瘍摘出手術後の海外出張で気をつけるべきこと/MRI検査の結果」への15件のフィードバック

  1. 高山さん、こんにちは。
    それって、脳腫瘍摘出手術全般の話ですか?
    私は病理は良性ですが、頭蓋底手術でした。
    てんかんは発作は一度もないし、手術後、
    健康な人と比べても無理してる方です。
    執刀した先生に聞いたときも、
    「何をしてもいい。不摂生はしないで」と
    言われただけですが…
    まあ不摂生だろうな、この忙しさは(苦)。
    お気を付けて、行ってらっしゃい。

  2. 大変ですねぇ。私は抗がん剤治療だけで切ったり貼ったりがありませんでしたし、最初の海外出張はタイでした。でもカミサンが強く主張するので差額だけを自腹でビジネスクラスに乗りました。またできるだけホテルの部屋で横になり接待も一切参加せず、仕事の打ち合わせだけで帰ってきました。
    無事に5年経過したのも、この辺りから仕事への考え方を変えたからだと思っています。高山さん、案外自分が現地に飛ばなくても済むこともありますよ。今回の出張が避けられないにしても、先生の言われることを守って最小限の仕事だけで十分です。そう信じて、無理は避けましょうね!

  3. 南姫さん、恐らく脳腫瘍摘出手術を受けた患者さん一般に当てはまると思います。僕も病気が見つかるきっかけになった時以外は一度もてんかん発作はなく、その後もけいれん止めの薬も飲んでいません。退院時も生活上気をつけることは言われていません。それでもこれだけ注意事項があるということは、やはり海外出張はいろいろと負担が大きいということなのでしょうね。

  4. こうちゃん361さん、タイ出張、やはりビジネスクラスで行かれたんですね。接待に一切参加せず、打ち合わせだけで帰ってきたのはすごいです!
    僕も今回はできる限り仕事の予定は最小限にして、あとはゆっくり過ごしたいと思います!

  5. 私が接待を敬遠したのは、かの地の食事の衛生事情を懸念したからです。欧州はうんとマシとは思いますが、抵抗力の落ちた身体には決して良くないものも含まれます。どうぞまだ満足のいく身体ではないことも頭に入れて、危険なものには近づかないようにして下さい。今回のご出張で体調を崩してしまったら、次の出張がまた遠くなってしまいますよ!お節介まで。

  6. なるほど、衛生面の懸念だったんですね。私もいろいろな点で無理をせず、気をつけて行ってきます!

  7. 私もシンガポールで酷い下痢になったことがあります。
    お気を付けて。
    てんかんの件は、来月外来があるので聞いてみます。
    手術の前と後に、脳波をとっていますから。
    あと病気と関係ないけど、あれだけ詳細に画像を撮れば、
    脳年齢とか頭の程度とかも、大体わかるんでしょうね。

  8. 脳年齢!知りたいような、怖いような・・・(笑)

  9. お久しぶりです
    先週のはじめに 東京女子医大病院に やっと いってきました。地元の先生と同じような内容を言ってもらえました。何の心配もなくなったという訳ではありませんが、心の中で引っかかっていたものか取れたような気なりました。次回地元の病院でMRIを撮るまで あまり考えないようにすることにしました。高山さんのアドバイスがなかったら行く決心もつかないでモヤモヤしたままだったと思います。本当にありがとうございました。

  10. サフランさん、
    女子医大でも、12月のMRI検査までは経過観察でよいという診断だったということですよね。よかったですね!
    おっしゃる通り、次回検査まではいろいろ考える必要はないと思いますよ。
    あのときのコメントが多少なりともお役に立ったようでうれしいです!
    また何かあればご連絡ください!

  11. 先生に高山さんのこと お話してしまいました。気にかけて頂いて 本当にありがとうございます。感激で涙がとまりません。地方の病院では病院間の先生同士の関係を気にされて 患者より自分たちの関係が大切なんだ・・・と感じ しかたないのかなって思っていましたが 先生には「患者が病院を選ぶ時代なんだよ」 ってやさしく言って頂いて 心がどれだけやわらいだか 感謝 感謝です。先生とお話しているあいだにも 私のこと考えて下さっているんだと 涙かでてしまいました。次回も頑張ってMRIうけてみたいと思います(私、閉所恐怖症みたいなんです だから 受ける前から ドキドキして 怖くて 大変なんです・・・)いつも暖かい言葉をありがとうございます。

  12. サフランさん、
    女子医大の脳神経外科の先生方は、国内で手術実績・治療成績がトップなのはもちろん、世界レベルで優秀でありながら、常に患者の立場に立って治療や診察に当たってくださいます。簡単なようで、なかなかできないことだと思います。本当に尊敬しています。
    恐らく、背景としては、東京「女子」医科大学だけあって、学部から上がってくる先生が教授クラスでは少なく、外部のいろいろな大学から優秀な先生が集まってきているということがあるのではと思っています。だから学閥がなさそうなんですよね。だからこそ、医学界のしがらみに囚われずに、先進的な治療法(ある意味外科医の経験・腕・勘を否定するような術中MRIなど)もどんどん開発できるのだと思います。
    先生方と一般的な話をしていても、言葉の節々に、「うちは患者さんありきですから」「その方が患者さんのためになるんですよね」など、患者本位の姿勢が現れます。そのたびにすごいなあ、と感心してしまいます。
    ちなみにMRIですが、僕も最初はあの激しい音にビックリしてしまいましたが、何回も受けているうちに慣れてしまって、今では検査中に寝てしまいます(笑)慣れとは恐ろしいですね(笑)

  13. いつも 心強い 言葉を ありがとうございます。今日は よく眠れそうな気します。

  14. 実は私もMRIの最中はうとうとすることが多いです。CTはくるくる回る光が気になってしまい、寝るには至りませんが…。

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