闘病記ブログは患者だけでなく医師の役にも立っていたという話

昨日は定期検査と診察のために東京女子医科大学病院に行ってきました。MRI検査と、その後に脳神経外科と放射線科の診察です。
今回は、ブログに書き続けている闘病記・体験記が、いろいろな意味で人の役に立っていることを再確認できました。


まずMRIだったのですが、その検査室の待合コーナーで、検査が終わったTさんから声をかけられました。Tさんは僕が脳腫瘍(グリオーマ)の手術を受けた翌年に、やはり同じ女子医大でグリオーマの手術を受けられました。その際、僕のブログを参考にしていただいていたようで、その後Facebookでつながりました。今回、診察日が一緒ということで、「病院でお会いしましょう!」というやり取りをし、初めてお会いすることができました。ただ、この時は僕が検査前の説明を受けている最中だったため、ご挨拶程度でした。
MRI検査が終わって、脳神経外科の診察室前で座っていたら、やはり初対面の女性から「高山さんですか?」と声をかけられました。このKさんはご主人がグリオーマで、先日、僕の主治医の村垣先生・丸山先生の手術を受け、退院してこの日は外来で診察にいらしたとのことでした。すぐにご主人も会話に合流されました。Kさんも、僕のブログを以前から読んでくださっているとのこと。

恥ずかしいのでコメントとかはできないのですが、ずっとブログを読んでいます。高山さんのブログはそういう患者さんが多いと思います。高山さんとは共通点もいくつかあり、勝手に親近感を持っていました。高山さんもまだ闘病中で大変だとは思いますが、応援しています。

と言ってくださいました。久しぶりにブログの読者さんと直接お話ができ、とてもうれしかったです。
Kさんと話しているうちに、先ほどのTさんも来て、会話に加わりました。しかし、会話が盛り上がりかけたところで、僕が診察室から呼ばれてしまいました。
脳神経外科の主治医の村垣先生とは、3ヶ月ぶり、また昨年末の白血病・悪性リンパ腫での入院からの退院後、2回目の診察ということで、お互いの近況報告を含め、いろいろな話(つまり雑談 笑)をしてきました。
「いま診察室の前でKさんとTさんと話していたんですよ」と言ったら、「高山さん、人気者だから!(笑)」と言った後、こんな話をしてくれました。

高山さんのブログのお陰で、脳腫瘍の発見後、最初から女子医大での治療を希望される方が増えました。以前は、最初の手術は地元の病院で受け、再発等をきっかけに女子医大にいらっしゃる患者さんも多かったんですが、その場合、治療でできることが限られる場合があります。最初から女子医大で診ることができると、最初の手術から積極的に腫瘍を摘出できます。実際にブログ前後で統計をとったわけではありませんが、明らかにそういう患者さんが増えていると感じています。

この話を聞いて、本当にうれしかったです。女子医大で救える患者さんの数が増えているということですから。
KさんやTさんのような患者さんやそのご家族からの言葉ももちろんうれしいです。それに加え、また違う観点で主治医の先生たちのお役にも立てているとお聞きして、

ああ、ブログに闘病記・病気体験記を書いていてよかった。

と心から思いました。
実際に僕のブログが先生方のお役に立っているという話は、2013年4月に日経ビジネスに掲載された僕と村垣先生とのインタビューでも、このように触れられていました。

実際、術後の経過などを克明に公開している高山社長のブログには、脳腫瘍で苦しむ患者からの相談が相次ぐ。『そうした患者さんが高山さんのブログを見て予習してから来院してくれるおかげで、本質的な話に時間を使えるようになる』と主治医の村垣医師は話す。高山社長はブログで自分自身の経験を発信することで、同じ病を患う人へ還元したいと考えている。


以前からお聞きしていた、この「診察時間をより本質的な話に使える」という点だけでなく、「患者さんの『最初の』病院選び」の点でもお役に立てていると知り、本当にうれしかったです。
その他にもいろいろなお話をしました。特に、先日NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)により発表された、「未来医療を実現する先端医療機器・システムの研究開発」に東京女子医科大学が採択された件については、先生も本当に安心していました。
このプロジェクトの構想については、僕も以前から先生にお聞きしていました。悪性脳腫瘍(グリオーマ)の治療成績を革新的に高めた「術中MRI」(オープンMRI)の開発に続き、手術室全体をシステムとして連携しパッケージ化するという、さらにチャレンジングなプロジェクトです。一患者として、さらなる治療成績の向上と術後のQOLの改善に期待しています。
その他、医療ビッグデータに関する構想やご苦労などもお聞きして来ました。
僕の方からは、僕の体調や、会社の状況、白血病・悪性リンパ腫の今後の維持療法などについてお話ししてきました。
どうやら僕が最後の患者だったこともあってか、思いがけず長話をしてしまいました(笑)。その長話の合間に、「忘れないうちに仕事もしないと(笑)」ということで、直前に撮影したMRI画像も見ていただきました。結果、再発の兆候は全くなし、ということでした。本当はこれが本題だったわけですが(笑)。
その後、放射線腫瘍科のKM先生の診察でした。僕の幼なじみのT君のお兄さんです。
KM先生にもMRI画像を見ていただき、問題なしとのお墨付きをもらいました。その他、僕の体調や、視覚障害の状況など含め、いろいろなお話をしてきました。
特に、白血病や脳腫瘍の生存率、再発に関するお話は参考になりました。僕が以下のような話をしたところ、

最初、国立がんセンターで白血病・悪性リンパ腫(B細胞性リンパ芽球性リンパ腫)と診断された時、標準治療があり、5年生存率は40%と言われました。化学療法と放射線治療を終え、先日、虎の門病院の主治医の先生と担当医の先生に、現時点での5年生存率を聞いたら、それぞれ80〜90%、60〜70%と言われました。

KM先生はこんな話をしてくれました。

高山君の悪性リンパ腫は、2〜3ヶ月の短期間であれだけ大きくなったんだから、3年再発しなければ再発しないと思うよ。3年経つと、逆に今度はグリオーマの再発の方が心配になってくるはず。なぜなら、グリオーマは、5年後でも再発するので。白血病・悪性リンパ腫については、かなり強い化学療法をやって、その上で放射線も当てている。放射線のお陰で、少なくとも局所(仙骨部)での再発はないと思うし、化学療法は全身治療なので、他の場所での再発もあまりないんじゃないかな。

実は、医者にとっては、生存率が60%でも80%でも90%も大して変わらない。50%を超えるか超えないかは違うかもしれないけれどね。

患者さんは機械とは違う。工場で100個作ったら何%の確率でミスして失敗作ができる、というものではない。医者は、治療そのものは常にミスのないように100%でやっている。その上で、その治療が患者さんに効くかどうかが問題であり、その患者さん個人にとっては0か100かしかない。だから、標準治療とか治療ガイドラインとか、それで生存率が何%とかもいいけれど、結局、患者さん一人一人としっかり話し合って治療をしていくことが一番大切なんだよね。

これを聞いて、なるほど・・・と思いました。最初にグリオーマが見つかり、村垣先生から「グレードは3か4」と言われたとき、まさに、「グレードがいくつでも、生存率が何%でも、自分にとっては0か100か。何としてでも生き残る。そのために最善の選択をする」と考えました。それと同じように先生も考えてくれているんだ、とうれしく思いました。
と、同時に、こんなことを思い出しました。
2011年にグリオーマの手術を経て退院後、最初の頃の外来診察でKM先生と生存率について話した際、こんなアドバイスをもらいました。

グリオーマの再発ばかり心配していてもしょうがないよ。今は日本人の2人に1人ががんになる時代だから、5年や10年も経てば、再発じゃなくて別のがんになる可能性もあるんだから。

この話を思い出したので、僕はこう言いました。

あのとき言われた通り、本当に別のがんになっちゃいましたよ(笑)

KM先生は苦笑いしていました(笑)。
この日は、こうして病院でブログ読者の患者さんやご家族、そして先生たちと会って、ブログを書いている意味を実感できましたが、他にもFacebookで個別に連絡をくださった方が何名かいらっしゃいました。
Hさんより(一部修正)

現在、家族が悪性リンパ腫などの病魔と戦っているため、高山さんの闘病記がとても勉強になります。m(__)m

Nさんより(一部抜粋・修正)

高山さんのブログは具体的なエピソードが多く、とても分かりやすく、参考にさせていただいています。また私自身、とても励まされています。

高山さんのブログに励まされ、元気をもらっている人はたくさん存在することと思います。私もその1人として、お礼をお伝えしたく、メールをお送りさせていただいた次第です。

これからもブログを楽しみにしております。

自分は脳腫瘍や白血病・悪性リンパ腫が見つかったとき、幼なじみのT君や、女子医大の先生方に助けられて、最善の病院を選択でき、最善の治療を受けることができました。そうしたお世話になった方々へのご恩を、ブログで自分の経験を他の患者さんと共有することで、間接的にでも世の中にお返ししていければと思い、日々、ブログに闘病記を書いています。
自分のブログが、他の患者さんやご家族が最善の治療を選択するためのお役に立てれば、そして将来に希望を持つための助けになれば、といつも思って書いています。
それが実際に意味のあることだと実感できた、いい一日でした。

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「闘病記ブログは患者だけでなく医師の役にも立っていたという話」への6件のフィードバック

  1. 高山さんのブログはそうですよね。
    普通は(私のブログ含む)医者が読んだら、結構いい加減なことを書いていると思います。
    私はある程度、確信犯ですが(^^;
    これからも、特に同じ病気の関係者の支えになる記事を期待しています。

  2. ブログいつも拝見しております。
    私も眼科で偶然、視野狭窄を指摘され、虎の門病院で脳腫瘍の摘出手術を受け、神経膠腫のグレード1と診断されました。
    腫瘍が少し大きかったため、腫瘍もまだ残存しており、視神経から腫瘍が発生しているため、全摘出も難しいようです。
    まだ社会人3年目なので、失明もしたくないですし、死にたくもないです。
    現在は退院して、仕事にも復帰しています。
    このブログを励みに日々頑張っています。
    ぜひ続けてください。

  3. せとっちさん、
    そうでしたか、脳腫瘍、虎の門病院という点はそれぞれ個別に僕と共通ですね。
    グレードが良性の1だったことは安心材料ですが、腫瘍が残存しているのは心配ですね。
    ただ、別の記事でも書きましたが、がんの治療法は本当に日進月歩です。
    ともに病気をやっつけてしまいましょう!

  4. 54歳金融機関の者で、3月から喉に異変を感じ、精密検査の結果、
    悪性リンパ腫(マントル細胞リンパ腫)と診断されました。
    5月下旬から入院し、高山会長様と同じhyperCVAD+MA+リツキサン療法を受けています。入院してから貴台のプログを見つけ拝読させて頂いております。大変ありがたく、また私も自分で調べて得心の行く治療を受けたいと思い、ipad miniで勉強中です。
    感謝の思いを伝えたくて、コメントさせて頂きます。

  5. hideさん、コメントありがとうございます!
    細胞のタイプは違いますが、治療は全く同じですね!
    僕の経験が多少なりともお役に立てば幸いです。
    これからも少しずつ書き進めていきますので、今後ともよろしくお願いします!

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