白血病、未開の地を生きる

先週、急性骨髄性白血病の定期診察で虎の門病院に行ってきました。
前回病院に行ったのは2週間ちょっと前。そのときは定期診察ではなく、インフルエンザでの予約外診察でした。

採血からスタバ

この日はいつものように、採血室で採血をして、スタバでランチを食べ、診察室へ。
スタバで診察待ちランチ
採血の結果が出るおよそ1時間後に湯淺先生の診察室前に移動しました。

診察にて血液検査の結果の説明

湯淺先生の診察では、いつもの通り血液検査の結果の確認。
GVHDが出ている肝臓の数値は相変わらず基準値より高いのですが、大きな変動はなく、問題なし。
また血球の数値も、相変わらず血小板は基準値を大きく下回っていますが、これまでの変動の範囲内であり、大きな問題はありませんでした。

急性骨髄性白血病の再発のチェックについて

この日、これまで気になっていたことを一つ湯淺先生にお聞きしてみました。「白血病の再発をどうチェックしているのか?」ということです。
いつもの定期的な診察(3〜4週に一度)では血液検査をしているのみで、MRIやPETはもちろん、マルク(骨髄穿刺)もやっていません。
そして僕は、2013年に悪性リンパ腫の、2017年に急性骨髄性白血病の治療を受けています。最初の悪性リンパ腫は、背骨の一番下の仙骨が原発で臀部に腫瘍ができました。これはB細胞性リンパ芽球性リンパ種という悪性リンパ腫ですが、腫瘍細胞自体は急性リンパ性白血病と同じもので、同じ病気とされており、同じ治療をします。
その意味では、急性リンパ性白血病(ALL)と急性骨髄性白血病(AML)と2回、白血病と闘っているわけですが、それらがもし再発した場合、どのように見つけるのか、という質問です。
湯淺先生のお答えは以下のようなものでした。

まず、高山さんの場合、2013年の急性リンパ性白血病(ALL)はすでに完治していると思います。もう治療から5年以上経っていますから。

またALLとAMLを両方とも経験した患者さんの場合、亡くなる直接的な原因はAMLであるケースが圧倒的に多いです。AMLのほうが白血病細胞をやっつけにくいからです。

そのため、再発については2年前の急性骨髄性白血病を主に見ていくことになります。

その急性骨髄性白血病の再発は、血液検査で見ています。高山さんが2017年に発病したときは、血小板が急に減少していました。そのため再発した場合も、血小板の数値が下がる可能性が高いと考えられます。

さい帯血移植の影響でずっと血小板は低いままですが、トレンドとしては5万〜8万のレンジで推移しています。もしそれが50以下になってくると要注意、ということになります。

また血液検査ではWT1 mRNAの数値も見ています。

いずれの数値も問題ありません。

このWT1 mRNAについて改めて調べたところ、白血病の腫瘍マーカーで、急性骨髄性白血病の再発の兆候である微小残存病変(MRD)の早期発見に有用とのこと。以下参考情報です。
▼WT1遺伝子の発現量の定量、白血病再発の早期診断に有用:MedWave Back Number
▼モニタリングマーカー WT1 mRNA

抗がん剤「べスタチン」の服用を開始

この再発のチェックの話の流れで、再発予防の薬の話に展開しました。

高山さんは今、以前と比べてGVHD(移植片退縮種苗)もある程度落ち着いて、体も楽になってきていると思います。

でもそれは、白血病細胞にとっても楽になっているということを意味します。移植したさい帯血由来の白血球の攻撃が弱まっているということだからです。

今後、娘さんの成長を見守っていくために、病気を治すためにできることは全てやる、ということでしたら、「べスタチン」という抗がん剤を使うという手があります。

ベスタチンは抗がん剤ですが、今回はがん細胞を殺すためではなく、GVHDを煽る(強める)ために使います。昔からやられている治療です。べスタチンでGVHDを煽る(強める)ことで、移植したさい帯血由来の白血球に、白血病細胞を攻撃させます。

ただ、白血球が、白血病細胞だけではなく、正常な臓器も攻撃するようになるので、GVHDが強く出るようになります。よって体は少し辛くなると思います。

べスタチンのお話が出たのはこの日が初めてだったのですが、二つ返事で「お願いします!」とお伝えしました。まさに「治すためにできることは何でもやる」ということです。娘が二十歳になるまでにはまだ12年もありますので。
早速、月、水、金曜日の週三回の服用でべスタチンを始めることになりました。ただ、GVHDが強く出過ぎないように、これから2ヶ月くらいは量の調整をしていくとのこと。
「長めに見て、2月から4月くらいまで調整をして、5月くらいには調整が終わって元気になれば、夏休みも娘さんと楽しく過ごせるでしょう」と湯淺先生。通常、外来診察は主治医の山本先生が担当なのですが、この調整が終わるまでは引き続き担当医である湯淺先生が診てくださるとのことです。

乏しいエビデンス

ただ一方で、このべスタチンの効果に関しては、実は有効なエビデンス(医学的に有効性を示すデータ)がほとんどないとのこと。それはなぜか。以下湯淺先生の説明です。

AML(急性骨髄性白血病)でも、高山さんのような複数の予後不良因子、つまり過去の抗がん剤治療による二次性発がんで、かつ、モノソーマルカリョタイプ(染色体異常)があるような患者さんは、それほど多くありません。虎の門病院でも年に5人いるかどうかです。

白血病の造血幹細胞移植治療では、患者さんにはいくつもの「壁」を乗り越えていきます(移植後の高熱や生着など)。しかし、高山さんのタイプの白血病の患者さんが長期生存していったときに、どのような「越えなければならない壁」が現れるかは、まだ十分に分かっていません。

そして患者さんの母数が少なすぎるがゆえに、べスタチンがどれくらい効果があるかも、統計的に有意なデータはないのです。

1割の落とし穴に落ちないためにできること

これを聞いてなるほど、と思いました。急性骨髄性白血病が見つかったとき、湯淺先生に「生存率はどのくらいですか?」と聞いたら、「一般的に、急性骨髄性白血病で造血幹細胞移植をした場合、5年生存率は6割ほどです。でも高山さんのように二次がんで、染色体異常がある場合は、3割です。」と言われました。つまり、長期生存している患者さんの数が非常に少ないということです。
でもありがたいことに、僕はまだ生きています。あと2ヶ月で、移植からまる2年です。昨年末の診察では、湯淺先生からは、「もう9割は大丈夫でしょう」とのお言葉をいただきました。
▼自分の生存率を聞いて墓石を押し戻した/急性骨髄性白血病のさい帯血移植|オーシャンブリッジ高山のブログ
とは言え、9割は大丈夫だとしても、1割の落とし穴に落ちないとは言い切れません。その1割の落とし穴に落ちないために、ベスタチンを服用することにしました。
湯淺先生は以下のようにも言っていました。

白血病も以前は不治の病でしたが、今は医学の進歩で治るようになってきました。でも治る患者さんが増えてくると、また新しい問題が出てきます。今回のべスタチンのエビデンスの話もそうです。がん患者の復職の問題もそうです。新たな壁が出てきます。

この湯淺先生の話を聞いて、改めて、自分が生きていることは非常に稀有なことであることを実感しました。
それと同時に、これからまだ誰も知らない「壁」に突き当たることも覚悟する必要があると感じました。再発の可能性はもちろんありますし、どこかで新しい慢性GVHDや合併症、後遺症などが出てくるのかもしれません。
不治の病だった白血病が治るようになった結果、患者に何が起こるのか。
「自分は未開の地を歩いているのかもしれない」と思いました。
そしてその未開の地に、これからどんな壁が立ち現れてくるのか。
でも、どんなに高い壁が目の前に現れようと、絶対に乗り越えていきます。
その先に、娘の二十歳の誕生日がある限り。
P.S. この記事を書いているときに、ニュース速報で、競泳の池江璃花子選手が白血病であることを発表したと知りました。
池江選手には、白血病は治せる病気であること、そして実際に僕は二種類の白血病(急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病)を乗り越えて今でも元気に生きていることをお伝えしたいです。
競泳で日本だけでなく世界も制したその身体能力と精神力をもってすれば、白血病治療も乗り越えられないわけはありません。池江選手がこの荒波を乗り越えて、また選手として復活されることを、白血病患者の一人として、心から応援しています。

★闘病記ブログランキングに参加しています。下の病名ボタンをクリックしてくださると、ランキングが上昇し、より多くのがん患者さんに僕の闘病記が届きます。よろしければクリックしてくださるとうれしく思います。4回のがんをがんを乗り越えた経験が、一人でも多くの患者さんに届きますように…

にほんブログ村 病気ブログ 白血病へ  にほんブログ村 病気ブログ 悪性リンパ腫へ  にほんブログ村 病気ブログ 脳腫瘍へ