ブログやSNSが自分の全てではない/氷山の下に隠れた背景やコンテクスト

Facebookでこの記事を見つけました。
▼「他人と比べることには意味がない」と考えることの本当の意義 | ライフハッカー[日本版]
この記事の以下の箇所を読んで、そうだなあ、と思いました。

私たちはSNSなどを使って、幸せな結婚式、人がうらやむようなバケーション、終わったばかりの仕事、満足したクライアントからの感謝状など、最高の瞬間を自然と人に見せています。しかし、他人の人生のハイライトだけを見ているということを忘れがちです。その人たちの眠れない夜や、うまくいかなかった計画や、絶望した瞬間や、自己不信は見ていません。


僕がブログに病気や生活のことを書いたり、FacebookやTwitterなどに食事などの写真をアップしたりしていると、それらが僕の全てだと思い込んでしまう読者の方が中にはいらっしゃるようです。
例えば以前、Twitterにアップされた日々の食事の写真を見た方から「もっと生野菜や果物を食べたほうがいいのでは」とアドバイスをいただいたことがあります。でも我が家では毎日のように食後のデザートとして旬の果物を食べています。でもデザートの写真はSNSにはアップしていません。
退院してしばらくした頃に、デリバリーのピザの写真をアップしたら、「そんなものを食べると健康に悪い」とアドバイスを下さった方もいました。でも自分にとっては、食事も取れない辛い入院中に、「退院したらあれが食べたい、これが食べたい」と夢想した食べ物の一つがピザでした。そして普段は毎日家内の手料理を食べています。
白血病・悪性リンパ腫で入院した際、「しばらく入院することになりました」とだけ書いたブログの記事に対して、「神様からいただいた貴重な時間だと思ってゆっくり過ごしてくださいね」とコメントをいただいたことがあります。
でも自分としては、これから半年以上も続く抗がん剤の副作用との闘いや、そのいつ終わるともしれない「先の見えない闘い」が終わっても、その後生き延びられるかどうかも分からない「5年生存率40%」という現実を前に、とても「ゆっくり過ごす」という気持ちにはなれませんでした。
もちろんこうしたみなさんは、僕のことを心配して、思いやって、わざわざコメントをくださったのだと思います。それ自体は大変ありがたいことです。
でも、ブログやSNSに書かれていることが僕の全てではありません。そこに書かれていることは僕のほんの一部であり、氷山の一角です。水面下にはもっと苦しいことやもっと幸せなこともたくさんあります。また、そこに至るまでにはさまざまな背景やコンテクスト(文脈)もあります。
僕は自分の脳腫瘍白血病・悪性リンパ腫の経験を闘病記としてブログに書いて発信することで、他の患者さんやそのご家族のお役に立てればと思っています。それが、神様(あるいは未知の大いなる存在)が、5年生存率がそれぞれ25%、40%という2回のがんを経た今でも僕を生かしてくださっている意味だと思っています。僕の生きる意義、ミッションです。
だから、入院中の手術化学療法、放射線治療の内容から、退院後の生活や、維持療法の内容、そしてそれらに付随する副作用合併症(帯状疱疹等)後遺症(視覚障害)などのことを、できるだけ詳細に、できるだけ客観的に書こうと努めています。
でも、全てを書くことはできません。やはりブログやSNSにアップされる内容は、上記のライフハッカーの記事にあるように「ハイライト」のみです。その背景やコンテクストの全てを書いているわけではありません。
お陰さまで最近は維持療法の副作用から回復し、体調も戻ってきました。家族と少し遠くまでお出かけすることもできるようになりました。
でもちょっと無理をすると、その後数日は寝込んでしまいます。そうやって疲れが出ると帯状疱疹後神経痛が激しくなり、医療用麻薬(オキノーム)や睡眠導入剤を飲まないと眠れません。仙骨左にあった悪性リンパ腫の腫瘍の影響による左足全体のしびれや痛みもまだ残っています。維持療法で飲んでいる抗がん剤の副作用でお腹の調子が悪くなったり睡眠障害が出たりもします。
またもちろん、脳腫瘍、白血病ともに再発のリスクもゼロではありません。そうした苦痛や不安と折り合いをつけながら、日々生活しています。ただカフェ カルディのコーヒーを飲んでいるだけではないのです(笑)。
ライフハッカーの記事に便乗して、普段あまり書かない「ハイライト以外のこと」を書いてみました。